大己貴命が降臨した御霊泉の清水が有名、芭蕉も一句詠んだ景勝地の式内社
[住所]福井県大野市篠座42-5
[電話]0779-65-1455

篠座神社(しのくらじんじゃ)は、福井県大野市にある神社。御霊泉の清水は「ふくいのおいしい水」に認定されている。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「篠座神社(越前国・大野郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では県社

御祭神は大己貴大神(おおなむちのおおかみ)。相殿に少彦名命市杵嶋姫命豊受姫命譽田別尊木花咲耶姫命を祀る。

当社の後方にそびえる飯降山は、「おたけさん」とも呼ばれ、古くからの御神体山。春分・秋分の日には、鳥居・社殿の延長線上である山頂に日が沈む。

奈良時代初期の養老元年(717年)、泰澄大師が麻生津から白山登拝を思い立ち、大野に到着した時、南の方の林、清水湧き流れ出る当地に10日ほど過した。

白山登拝の後、 再び当地に戻った時、虚空に声があって「我は大己貴命なり。かかる林泉の勝地であるから常に心を楽しませて降遊する」とのお告げがあった。

そこで、泰澄大師は一つの祠を営み、影降の尊容を刻んで安置した。これが創祀、創建となる。なお、この由緒は、平泉寺白山神社とも共通する。

戦乱により一時荒廃するも、大野城主金森長近(大野城主:1575年-1582年)により再興され、歴代藩主より厚い保護を受ける。

福井藩士が弘化4年(1847年)に書いた『白山行程記』にも、「両側に松杉が生い立って、清い清水もあり、とても佳い風景である」との記述がみられる。明治8年(1875年)に県社列格。

創建以来、大野原を領く産土神として崇敬され、特に御霊泉の清水は、癒しの神水として奥越前(大野市・勝山市)をはじめ、現在に至るまで、県内外の参拝者らに広く親しまれている。

また社記には、「大巳貴尊の御仁慈より眼病に苦しむ者を救はむとしてこの霊泉を湧出せしむ」とあり、「篠座目薬(しのくらめぐすり)」とも謳われる。目を清める際は、左目、右目の順。

絵師・菱川師福(1845年-1941年)による御神影がある。

若い頃不治の眼病に苦しんでいた師福は必死に篠座の大神に祈りを捧げ、奇跡的に開眼全治した。以後月次祭の日のお礼参りを欠かすことがなかったという。

社記によれば、当社の神苑は「此地納涼の好地として文人墨客の嘆美する所で、夏季の雅遊園遊会は殆ど凡て此処に催された」といい、当時の風情を感じさせる歌が今に伝えられ、現在もいくつかの句碑がある。
松尾芭蕉
こゝろみに 浮世そゝがん 苔清水
田中大秀
篠座の森にて  小竹倉の 御井の真清水むすびつゝ あかすも今日は遊くらしつ
岡田輔幹
咲花の にほひも久にさかえよと 守りやすらむ 篠座の神
佐々木弘綱
篠座や しのにみたれて幣袋 とりあへぬまで 散さくらかな
佐々木信綱
春風は さくらが枝にふきたえて しづかに花の にほひぬるかな
例祭は4月20日・21日。この例大祭にあわせて、篠座獅子舞保存会によって奉納される里神楽・獅子神楽がある。

相殿の木花咲耶姫命は、合祀した樺神社の御祭神。樺神社は、越前国大野郡の式内社「椛神社」の論社である。また、境内社の磐座神社(稲田姫命)も、式内社「磐座神社」の論社。

磐座神社は一度合祀され、その後また旧に復した経緯があり、本来は2社(もう一社は現在相殿の市杵嶋姫命が御祭神)だったのではないか、との指摘がある。

式内社「磐座神社」の論社は他に、福井市大宮町の八幡神社がある。式内社「椛神社」の論社は他に、福井市中手町の樺八幡神社、福井市東河原町の八幡神社がある。

他に境内社として、大野招魂社・秋生神社・若生子神社・温見白山神社がある。

【ご利益】
眼病平癒、病気平癒(公式HP
篠座神社 - 大己貴命が降臨した御霊泉の清水が有名、芭蕉も一句詠んだ景勝地の式内社
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篠座神社の御朱印