「天平の社・遠江国府宮」、『万葉集』桜井王と聖武天皇の歌と10月の祭典
[住所]静岡県磐田市中泉112-1
[電話]0538-32-4762

府八幡宮(ふはちまんぐう)は、静岡県磐田市中泉にある神社。参拝すれば、「天平の社」「遠江国府宮」などとある御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』遠江国磐田郡にある「御祖神社」「入見神社」「須波若御子神社」に比定される式内社(いずれも小社)の論社。近代社格では県社

もともとは国府八幡宮であり、そう呼ばれた。現在は、「八幡さま」「中泉の八幡さま」として親しまれている。中泉八幡宮とも。

天平年間(729年-748年)に遠江国司であった天武天皇の曽孫に当たる桜井王(さくらいおう)が、治政のために八幡神を奉斎したのが創祀。

国分寺の隣に創建された。国府・国分寺の守護神である国府八幡宮

桜井王と当時の聖武天皇の歌のやり取りが『万葉集』(巻8-16 14・5)に掲載されており、当社の境内南東に歌碑がある。
遠江守桜井王の天皇に奉れる歌1首
九月のその初雁の使にも思ふ心は聞こえ来ぬかも

九月の初雁の使いによって、私のお慕い申し上げる気持ちは、陛下のもとに届かないものだろうか
天皇の賜へる報知の御歌1首
大の浦のその長浜に寄する波ゆたけき君を思ふこのころ

大の浦の長々とした海岸に寄せる波のように、心ゆったりと、あなたのことを考えています
御祭神は、主祭神として誉田別命で、父の足仲彦命、母の気長足姫命を祀る。

鎌倉時代には秋鹿氏がこの地に留まり、当宮の神主となり、江戸時代は代官も兼ねて250石を給せられた。

足利氏は一族の「家門繁昌」を祈り、当宮に社領を寄進している。今川氏にも優遇され、徳川家康との縁も深く、社領の寄進があった。

寛永8年(1631年)作の大絵馬が現存する。寛永12年(1635年)に建立された楼門は県の文化財に、やはり江戸期の中門・本殿・拝殿および幣殿は市の文化財に指定されている。

例祭は10月第1土・日曜日。その一週前の日曜日に、前の浜にて「浜垢離」が行われ、禊が行われる。

当日の土曜日午前に例祭、夜8時から夕祭、日曜日昼より御神幸。途中、特殊神事の「命魚の儀」を行う。

例祭の両日とも、町内ごとに氏子により絢爛豪華な山車が10台以上曳かれる。夜間もライトアップされ、幻想的な雰囲気を醸し出す。「府八幡宮祭典」として知られる。

境内には東照宮や辯財天の他、末社数社がある。

なお、式内社「御祖神社」の論社は他に、市内の見付の淡海国玉神社に合祀されたもの、加茂の賀茂神社がある。

式内社「入見神社」の論社は他に、市内勾坂の岩田神社がある。式内社「須波若御子神社」の論社は他に、淡海國玉神社に合祀されたものがある。

【ご利益】
厄災除け、安産、交通安全(公式HP
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府八幡宮の御朱印