神功皇后が船を繋ぎ井戸の水を求めた故事、樹齢500年の大楠と夜泪き松の伝承
[住所]広島県三原市糸崎8-10-1
[電話]0848-68-0102

糸碕神社(いとさきじんじゃ)は、広島県三原市糸崎にある神社。近代社格では県社。旧称は糸崎八幡宮、大氏宮とも呼ばれた。参拝すれば、御朱印を頂ける。

御祭神は帯中津日子命(仲哀天皇)、品陀和気命(応神天皇)、息長帯日売命(神功皇后)。鎮座地は瀬戸内海に面し、長井の浦と呼ばれる風待ちの浦として『万葉集』にも詠まれている。

境内の東側には貢井(みつぎい)、または御調井と呼ばれる井戸があるが、社伝によれば神功皇后が長井の浦に船を繋ぎ、この井戸の水を求めたことにちなむ。神功皇后が軍船をつないだという「船つぎの松」の記念碑が残る。

長井の浦は井戸崎(いどさき)ともいい、現地名の糸崎(いとさき)の由来とされる。また、かつて広島県に存在した御調郡も当社の御調井が発祥であるという。

社伝によれば、天平元年(729年)に豊前国宇佐八幡宮より応神天皇の産髪を勧請したことが創祀。

古来朝野の崇敬を集め、中世には小早川氏や毛利氏、福島氏などの地方有力者の庇護を受け、近世には小早川氏が社領330石、銭150貫を寄進している。

元和8年(1612年)に本殿が炎上、寛永元年(1642年)に広島藩藩主浅野長晟によって再建されたが、宝暦2年(1752年)に再び火災に罹り、同9年(1759年)に現在の本殿が再建された。現在は、市の指定文化財。

大正13年(1924年)に県社に昇格した。現在でもこの地方で船を新造した場合、まず当社のお祓いを受け、その後、伊予国大山祇神社へ向かうのが慣わしという。

例祭は10月第3日曜日。前日には高井神楽が、当日には子供相撲が奉納される。旧暦1月19日に疫神祭がある。

境内にそびえる御神木の大楠(クスノキ)は、樹高30メートル、胸高幹囲13メートル、樹齢推定500年で、市の天然記念物に指定された。楠としては広島県で一番、中国・四国地方でも3番目の大きさを誇る。

日没後にこの大楠を右回りに8度回り神社から出ようとすると、夜の海からおらび船と呼ばれる船が神社のすぐ前の船着き場にたどり着き、夜の沖へと連れ去られてしまい、また、左回りに回ると宝船がやって来るという伝承がある。

現在、神社のすぐ前の船着き場は埋め立てられてしまっており、現存していない。

かつては夜泪き松と呼ばれる松の巨木があり、夜泣きする子にこの松の皮を煎じて飲ませると夜泣きが収まると言われていた。また、万病にも効くとされた。

境内社に高良神社(御祭神:武内宿禰)、真人神社(御祭神:木梨真人。きなしのまっと。神功皇后に水を献上したとされる、当時の村長)があり、境外末社として、道通神社がある。

【ご利益】
海の守護神、水難除け、交通安全、身体壮健、健康長寿
糸碕神社 - 神功皇后が船を繋ぎ井戸の水を求めた故事、樹齢500年の大楠と夜泪き松の伝承
【関連記事】
広島県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、広島県に鎮座している神社の一覧
糸碕神社の御朱印