大晦日狐の行列や「御石様」「お穴さま」でも有名な関東八州の稲荷総社
[住所]東京都北区岸町1-12-26
[電話]03-3907-3032

王子稲荷神社(おうじいなりじんじゃ)は、東京都北区岸町にある神社。近代社格では無格社。参拝すれば、「火防御守護」などとある御朱印を頂ける。

関東八州の稲荷総社などとも呼ばれ、落語『王子の狐』でも有名である。御祭神は、宇迦之御魂神宇気母智之神和久産巣日神

古くは岸稲荷と号した。『新編武蔵風土記稿』巻18によれば、荒川流域が広かった頃、その岸に鎮座したことから名付けられた。

一瓶塚稲荷神社の社伝には、当社は、武蔵国鴉森、上野国新禞院、下野国富士村 とともに、鎮守府将軍藤原秀郷(俵藤太)が天慶5年(942年)、関八州管領の地に四社を勧請し関東稲荷社と称した一社だという。

当社の社伝によれば、「康平年中、源頼義、奥州追討のみぎり、深く当社を信仰し、関東稲荷総司とあがむ」とある。康平年間は1058年-1065年。治承4年(1180年)には源頼朝より奉納を得たという。

別当は王子権現(現 王子神社)とともに金輪寺だったが、その金輪寺が「関東稲荷総司」を陸奥国まで含む「東国三十三国」と解釈したため、関東八州に限らず、日本の半分としての東日本全体の稲荷総社とみられたこともあった。

毎年大晦日の夜、諸国のキツネ、社地の東、古榎のあたりに集まり、装束を改めるといい、江戸時代、狐火で有名であった。この伝統は現在も「狐の行列」として受け継がれている。

また、江戸時代には当社は江戸の名所として絵画に描かれ、歌川広重は『名所江戸百景』において当社を描いている。三代歌川豊国(国貞)にも三枚続きの浮世絵「王子稲荷初午祭ノ図」がある。

江戸名所図会』にも記載され、江戸庶民に大人気の神社の一つだった。

毎月午の日が縁日で、2月初午の日、二の午、三の午には賑わう。社務所にて火防(ひぶせ)の凧、守札がだされ、境内にも凧を売る店が立つ。

境内には、「御石様」がある。願い事を念じつつ石を持ち、その時に感じる石の軽重により御神慮がうかがえるという。

また、お穴さまと呼ばれる狐穴の跡がある。いずれも都内のパワースポットとして知られている。

群馬県太田市の冠稲荷神社では、自社と当社などを含め、日本七社(日本七稲荷)などと呼んでいる。

一般的に、関東三大稲荷には含まれず、関東三大稲荷には当社とも近く、関係の深い装束稲荷神社が選ばれている。

また、当社に関連するグルメとして紹介されることが多い葛餅で有名な石鍋久寿餅店は、当社と王子神社の中間当たりに店舗を構えている。

【ご利益】
開運招福、出世開運、商売繁盛
王子稲荷神社 - 大晦日狐の行列や「御石様」「お穴さま」でも有名な関東八州の稲荷総社
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