飛鳥期以前の創祀、空海伝承が残る「おくんち」でも有名な古社
[住所]佐賀県杵島郡白石町辺田2925
[電話]0954-65-2177

稲佐神社(いなさじんじゃ)は、佐賀県杵島郡白石町にある神社。近代社格では県社。参拝すれば、御朱印を頂ける。自然石の長い参道は趣があり、山門から望む有明海の眺望のすばらしさでも知られる。

御祭神は、五十猛命(またの名を大屋毘古神)・大屋津姫命・天神・女神・聖王神・阿佐神。創祀年代は不詳であるが、社伝によると天地開闢の頃に五十猛命を祀ったという。

飛鳥時代に百済より阿佐王子が来朝し、この地に留まり居を定め、稲佐大神とともに両親を合祀した。阿佐王子が亡くなった後、阿佐王子も合祀された。

平安時代に入り、空海により稲佐泰平寺が開かれ、その鎮守神として稲佐大明神が位置づけられ、真言寺十六坊と呼ばれる一大霊所となった。

ちなみに、今も弘法大師の着岸した地点が「八艘帆崎」(現 辺田)としてその名をとどめている。なお、十六坊のうち現存は座主坊・観音院・玉泉坊の三坊。

『日本三代実録』貞観3年(861年)8月24日に「肥前国正六位上稲佐神・堤雄神・丹生神ならびに従五位下を授く」とあり、仁和元年(885年)2月10日に従五位上、国史見在社と考えられている。「稲佐雄神」とも。

江戸期の『肥前古跡縁起』の稲佐太(泰)平寺の項に「流鏑馬祓様々にして神慮を冷め奉る…」とあり、鎌倉時代には、武芸をともなう祭礼が盛んに行われていたことが分かる。

その後、幾多の盛衰を繰り返したが、龍造寺氏や鍋島氏の保護を受け発展した。現在の本殿は、享保6年(1721年)に再建されたもの。

例祭は10月19日。鎌倉時代からの伝統とも思われる流鏑馬(うまかけ、馬駆け)が行われる。「稲佐神社のおくんち」とも呼ばれ、赤獅子・青獅子による勇壮な獅子舞もある。

境内社に、御嶽神社・八幡神社・天満神社・稲荷神社・忠霊神社がある。境内の楠二株は県の天然記念物に指定されている。

なお、島根県には日本神話で知られる「稲佐の浜」があり、出雲大社の境外摂社として因佐神社という同音神社はあるが、島根県には同名神社はないと考えられる。

【ご利益】
家内安全、夫婦和合、武運長久、勝運、身体壮健
稲佐神社(白石町) - 飛鳥期以前の創祀、空海伝承が残る「おくんち」でも有名な古社
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稲佐神社(白石町)の御朱印