「甲賀の総社」、県内でも貴重な室町期社殿群が現存する油日岳を祀る里宮
[住所]滋賀県甲賀市甲賀町油日1042
[電話]:0748-88-2106

油日神社(あぶらひじんじゃ)は、滋賀県甲賀市甲賀町にある神社。近代社格では県社。参拝すれば、御朱印を頂ける。甲賀市甲南町上馬杉にも同名神社がある。

油日大神(あぶらひのおおかみ)を主祭神とし、東相殿に罔象女神、西相殿に猿田彦神を祀る。神紋は木瓜に二ッ引。

油日大神は勝軍神として武士の崇敬を受け、社名から油の火の神としても信仰された。油日岳を神体山とし、山頂には奥宮として罔象女神を祀る岳神社(岳大明神)がある。当社はその里宮となる。

創祀年代は不詳だが、用明天皇または天武天皇の時代の創建と伝えられる。

油日岳の山頂に油の火のような光とともに油日神が降臨したことから「油日」の名がついたという。また、聖徳太子が社殿を建立し、油日大明神を祀ったとの伝承もある。

国史の初見は、『日本三代実録』元慶元年12月3日(878年1月9日)条に「近江国の正六位上、油日神に従五位下(の神階)を授く」という記述である。

『延喜式神名帳』にある「川枯神社二座(近江国・甲賀郡)」に比定する説もあるが、有力ではない。ただし国史見在社であることは間違いない。

本殿には「正一位油日大明神」と記した明応2年(1493年)の棟札がある。

桃山時代建立の拝殿、永禄9年(1566年)建立の楼門、永禄9年(1566年)建立の廻廊2棟とともに、国の重要文化財に指定されている。

ほぼ完璧な室町期の神社形式一式を残す社殿群は、県内でも貴重。

甲賀地域随一の名社であり、中世には「甲賀の総社」とされていた。

また、明治維新までは神仏習合の色彩が濃く、室町時代の絹本著色十一尊蔓荼羅図、千手観音三尊蔓荼羅図、種子三千仏などが保存されている。

明治39年(1906年)7月に県社に列し、明治44年(1911年)、村内の10社を境内社として合祀した。

現在までに、境内社に八幡神社・神明神社・日吉神社・春日神社・金比羅神社・櫻神社・常松神社・祖霊社が、境外社に岳神社・白鬚神社がある。

例祭は5月1日で、油日まつり。太鼓踊り(国の選択無形民俗文化財)、奴振り(県選択無形民俗文化財)がある。福太夫神面 1面 附:ずずい子1躯が県指定文化財。

【ご利益】
武運長久、勝運、武芸・芸事上達、火の神
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油日神社の御朱印