事代主命の終焉地と伝わる石見国二宮、享保年間の植樹奉献のナギの御神木
[住所]島根県江津市二宮町神主イ307
[電話]0855-52-2501

多鳩神社(たばとじんじゃ)は、島根県江津市二宮町にある神社。例祭は10月21日。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「多鳩神社(石見国・那賀郡)」に比定される式内社(小社)。石見国二宮で、近代社格では県社

社伝によると、創建は貞観3年(861年)。大和国の天高市神社から、多鳩山古瀬谷に勧請したという。

ただし、同じく社伝によると、天武天皇の時代(673年-686年)に積羽八重事代主神を御祭神とする社を創建したとも。

御祭神は、積羽八重事代主命。エビスさんとしている。やはり島根県の松江にある美保神社との関連もうかがえるか。

当社では、事代主命が神代の昔、石見の国開拓のため当地に留まり、その終焉地となった地と伝わる。

多鳩山の山上の古瀬谷に鎮座した際には、北西に面して、あたかも日本海の中心を下瞰・守護するようで、その神威は沖を航海中の船舶をしばしば停止させたともいう。

文安年間(1444年-1448年)に現在地に遷座。往古は、別当寺として、大宝坊・松本坊・小林坊・東坊・西坊の五坊が並ぶ大社で、末社二十五社が存在していたという。

現在の社殿は、大社造りの変形の本殿をはじめ、弊殿・神饌所・拝殿・随神門がある。

八咫烏の伝説が残るとされ、本殿の軒下には他の神社には見られない八咫烏を招くためといわれる、ブランコのような「神饌代」があるという。

また、多くの奉納額があることで知られる。

その中でも縦121センチ・幅151センチの大額絵馬は、五穀豊穣を祈願したもので、絵馬の筆者は平景隆(邑智郡石見町)の画工、祈願者は浜田藩跡市代官の寺井嘉藤次維尚とある。

社務所玄関前には「ナギ」の木が植えられている。享保年間 (1716年-1736年)に地元の叶松助左衛門が航海安全を祈願し、植樹奉献したと伝わる。

現在の高さは約15メートル、胸高周囲約1.72メートルで、2世も育っている。

このナギの木は、男女の縁を結ぶ力があるとされている他、困難を「薙ぎ」倒すということで、お守りとしても使われてきたという。

当社を取り巻く自然林は、シイ・タブ・ケヤキ・クス・ツバキ・スギ・ヒノキなど大樹古木で構成され、先の大額絵馬とともに江津市の指定文化財となっている。

境内社には、大元神社、八幡宮、高神神社、若宮神社、住吉神社、稲成神社がある。稲荷を稲成とするのは、同じ島根県でも津和野の太皷谷稲成神社からの勧請か。

【ご利益】
家内安全・夫婦円満・海上安全・縁結び
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