神社に詳しい人や、参拝・巡拝に慣れていらっしゃる方は別にして、(氏神様以外の)「神社にお参りに行こう」と思い立っても、結構困ることがあります。
「さて、どの神社に行こう?」
その時の場所や、参拝にかけられる時間などにも影響されますし、地図で適度に探し出した神社は一体どういう神社なのかよく分からなかったり。
そういう時にお勧めしたいのが別表神社巡りです。
別表神社とは、神社本庁に属している一部の神社を指して使います。もともとは社格でもなんでもなく、神社本庁の都合で設けられた決まり事なのですが、後述するように、現在ではすでに一つの社格として認知されつつあります。
神社の社格と言うと、一宮がまず挙げられます。また、戦前まで用いられてきた官幣大社など官国幣社もあります。
「さて、どの神社に行こう?」と思い立った時に、行くのに便利な場所に一宮や旧官国幣社があればいいのですが、そうではない場合、あるいは別の神社に行きたい、と思った時「別表神社」というキーワードは結構使えます。
あまり言われない別表神社巡りですが、別表神社だと下記の利点があります。
また、御守や御朱印なども頂ける確率が高まります。そうではなくても、神職やスタッフの方々が由緒についてなどの雑談に気軽に応じてくれる場合もあります。
関連して、ほとんどの別表神社は、近隣地域の中核神社となっています。その別表神社の付近の事情や、付近に所在する神社についても、詳細な情報を入手できる可能性があります。
もちろん、別表神社に指定されていない神社でも、神職やスタッフの方々が常駐し、迅速丁寧に対応していただける神社はたくさんあります。
それでも、巡っていると、いくつかは御朱印が頂けなかったりする場合があったりします。そうしたリスクがないのが別表神社、という可能性が高い、ということだと思います。
つまり一宮などを含む、由緒が今にしっかりと伝わっている古社か、明治以来、重要視されてきた神社が別表神社です。
また、別表神社の中には、旧官国幣社ではなく、戦前までは県社以下だった、あるいは何も格が付いていなかった神社の場合もあります。その場合、現在の状況が加味された結果指定されているので、それはそれで、現在多くの方々から崇敬される何らかの理由がある、ということになります。
その意味では、別表神社であれば、言葉はよくないかもしれませんが、参拝にハズレがないことになります。
別表神社は、全国各地に約350社ほどありますが、いわば、現時点において、日本の神社全体のTOP500(別表神社以外の神社のバッファをざっくり見積もって)ぐらいな神社、と考えることもできます。
日本全国で総数8万社を数えるといわれる神社、その上位群が別表神社であるとも言えます。
最も少ないのは沖縄県の一社、群馬県も二社です。逆に多いのは、福岡県、京都府、島根県、静岡県などでしょうか。
人口の多いはずの東京都は意外にも多くありません。人口の多い少ないよりは、やはり重要な神社が集中しているかどうか、で、別表神社の分布も決まってきているようです。
そして、やはり特筆すべきは福岡県。実に24社の別表神社があります。京都府、あるいは大阪府、奈良県、そして島根県も神話のふるさととすれば、別表神社が多いというのは理解しやすいですが、福岡県の多さはそれらと比べても突出しています。
並べてみてみると、やはり重要な神社が多い。大陸・半島との交通の要衝とはいえ、別表神社、というか官国幣社かもしれませんが、その分布は、日本史の理解としても重要な要素かもしれません。
ともかく、その県にお住まい、あるいはその県に所用で出かけて、少し時間があるから神社参拝、という時に、その都道府県に所在している別表神社は、一つの指針になるかもしれません。
創建や発展の事情はともかく、現在の護国神社はほぼ全く軍国主義色はなく、戦争とは無縁、というより、その反省から、日本の平和や世界平和を望み、祈願する神社ばかりとなっています。
戦争反対。声高に叫ぶのもよいですが、護国神社はそれを正面から受け止め、反省し続けた、そうした重みがある、まさに反戦の社でもあるわけです。
むしろ現在では、地域を見守る氏神様の一つとして定着しており、神前結婚式や七五三、初宮詣などの定番になっている護国神社も少なくありません。
護国神社と聞いて、少し抵抗感があった方、ぜひ一度は神社巡りの一環としてでも、その地域の御英霊に感謝をささげ、自省する、あるいは反戦の思いを新たにする時間を設けてみてはいかがでしょうか。
その際も、「別表神社」という枠組みは有効です。
まず、伊勢の神宮(伊勢神宮)は、別格として、別表神社に含まれていません。別表神社の上に位置するのが伊勢神宮、ということでしょう。
まあ、伊勢参宮は、「さて、どの神社に行こう?」というレベルの問いとは無縁のものなので、別表神社の注意事項の一つとして考えておきたいところです。
また、旧官国幣社の中でも、それぞれの理由で、神社本庁に属していない、したがって別表神社ではない神社も、多くはないですが、存在します。
そうした神社についても、こちらのページで一覧にしています。ビックリするぐらい有名な神社も含まれていたりするので、「別表神社」にこだわりすぎるあまり、こうした重要な神社を見逃さないよう、気を付けたいものです。
三点目に、日本には社格にこだわらず、霊験あらたかとされるパワースポットとしての神社が点在しています。そうしたパワースポットに、別表神社の各社が当てはまらない、というケースはあり得ます。
パワースポットへの訪問も、通常は明確な目的を持ったものとなるので、「さて、どの神社に行こう?」という時とは若干違いがありますが、「別表神社」にこだわりすぎると、他の神社に参拝後に、「近くに全国的に有名なパワースポットの神社が、実はあった」ということも無きにしも非ず。
神社本庁が推していることでも何でもありません。神社本庁の公式サイトにも、おそらく「別表神社」という言葉すら出てこないかもしれません。
つまり、別表神社はあくまでも神社本庁の内部事情の賜物、なのではありますが、すでにある枠組みを活かした神社巡りというのも、ある意味では効率的です。
個人的には神社は多かれ少なかれ『古事記』やその世界と触れ合える場。意外な神社が別表神社になっていたりして、参拝すると、また新たな出会いがあったり、そうした楽しみもあります。
こちらに、別表神社、と、そうではない神社の一覧、都道府県別へのリンクがありますので、ご参考になれば。
【関連記事】
・別表神社とは? - 神社本庁が包括している一部の神社の総称、現代の社格・官国幣社とも
・神社いろいろ - これで神社のおよそが分かる! 社格や形式などで神社を分類したまとめ
「さて、どの神社に行こう?」
その時の場所や、参拝にかけられる時間などにも影響されますし、地図で適度に探し出した神社は一体どういう神社なのかよく分からなかったり。
そういう時にお勧めしたいのが別表神社巡りです。
別表神社とは、神社本庁に属している一部の神社を指して使います。もともとは社格でもなんでもなく、神社本庁の都合で設けられた決まり事なのですが、後述するように、現在ではすでに一つの社格として認知されつつあります。
神社の社格と言うと、一宮がまず挙げられます。また、戦前まで用いられてきた官幣大社など官国幣社もあります。
「さて、どの神社に行こう?」と思い立った時に、行くのに便利な場所に一宮や旧官国幣社があればいいのですが、そうではない場合、あるいは別の神社に行きたい、と思った時「別表神社」というキーワードは結構使えます。
あまり言われない別表神社巡りですが、別表神社だと下記の利点があります。
神社本庁の指定なので、神職やスタッフはほぼ必ず常駐している
玄人の方以外の神社巡りでは重要な要素です。無人の神社だと、参拝そのものにそれほど不自由はなくても、その神社についての由緒などは自分で探求しなければならなくなります。また、御守や御朱印なども頂ける確率が高まります。そうではなくても、神職やスタッフの方々が由緒についてなどの雑談に気軽に応じてくれる場合もあります。
関連して、ほとんどの別表神社は、近隣地域の中核神社となっています。その別表神社の付近の事情や、付近に所在する神社についても、詳細な情報を入手できる可能性があります。
もちろん、別表神社に指定されていない神社でも、神職やスタッフの方々が常駐し、迅速丁寧に対応していただける神社はたくさんあります。
それでも、巡っていると、いくつかは御朱印が頂けなかったりする場合があったりします。そうしたリスクがないのが別表神社、という可能性が高い、ということだと思います。
別表神社は旧官国幣社+最近の状況に沿って指定された神社
別表神社は、ほとんどすべての旧官国幣社が指定されています。というより、戦後になって、旧官国幣社が自動的に指定されたのが始まりです。つまり一宮などを含む、由緒が今にしっかりと伝わっている古社か、明治以来、重要視されてきた神社が別表神社です。
また、別表神社の中には、旧官国幣社ではなく、戦前までは県社以下だった、あるいは何も格が付いていなかった神社の場合もあります。その場合、現在の状況が加味された結果指定されているので、それはそれで、現在多くの方々から崇敬される何らかの理由がある、ということになります。
その意味では、別表神社であれば、言葉はよくないかもしれませんが、参拝にハズレがないことになります。
別表神社は、全国各地に約350社ほどありますが、いわば、現時点において、日本の神社全体のTOP500(別表神社以外の神社のバッファをざっくり見積もって)ぐらいな神社、と考えることもできます。
日本全国で総数8万社を数えるといわれる神社、その上位群が別表神社であるとも言えます。
全国すべての都道府県にある
多少はありますが、日本全国すべての都道府県に、最低一社の別表神社があります。最も少ないのは沖縄県の一社、群馬県も二社です。逆に多いのは、福岡県、京都府、島根県、静岡県などでしょうか。
人口の多いはずの東京都は意外にも多くありません。人口の多い少ないよりは、やはり重要な神社が集中しているかどうか、で、別表神社の分布も決まってきているようです。
そして、やはり特筆すべきは福岡県。実に24社の別表神社があります。京都府、あるいは大阪府、奈良県、そして島根県も神話のふるさととすれば、別表神社が多いというのは理解しやすいですが、福岡県の多さはそれらと比べても突出しています。
並べてみてみると、やはり重要な神社が多い。大陸・半島との交通の要衝とはいえ、別表神社、というか官国幣社かもしれませんが、その分布は、日本史の理解としても重要な要素かもしれません。
ともかく、その県にお住まい、あるいはその県に所用で出かけて、少し時間があるから神社参拝、という時に、その都道府県に所在している別表神社は、一つの指針になるかもしれません。
一県一社の護国神社が含まれている
一県一社の護国神社は、戦前の内務大臣指定護国神社などに由来しますが、それを受け継ぎ、今の別表神社でも都道府県別に見ると、ほぼ必ず、その都道府県の護国神社が含まれています。創建や発展の事情はともかく、現在の護国神社はほぼ全く軍国主義色はなく、戦争とは無縁、というより、その反省から、日本の平和や世界平和を望み、祈願する神社ばかりとなっています。
戦争反対。声高に叫ぶのもよいですが、護国神社はそれを正面から受け止め、反省し続けた、そうした重みがある、まさに反戦の社でもあるわけです。
むしろ現在では、地域を見守る氏神様の一つとして定着しており、神前結婚式や七五三、初宮詣などの定番になっている護国神社も少なくありません。
護国神社と聞いて、少し抵抗感があった方、ぜひ一度は神社巡りの一環としてでも、その地域の御英霊に感謝をささげ、自省する、あるいは反戦の思いを新たにする時間を設けてみてはいかがでしょうか。
その際も、「別表神社」という枠組みは有効です。
別表神社巡りの注意点
「さて、どの神社に行こう?」と考えた時に、非常に便利な別表神社という括りで、「別表神社ならまず間違いない」ところではあるのですが、注意点がいくつかあります。まず、伊勢の神宮(伊勢神宮)は、別格として、別表神社に含まれていません。別表神社の上に位置するのが伊勢神宮、ということでしょう。
まあ、伊勢参宮は、「さて、どの神社に行こう?」というレベルの問いとは無縁のものなので、別表神社の注意事項の一つとして考えておきたいところです。
また、旧官国幣社の中でも、それぞれの理由で、神社本庁に属していない、したがって別表神社ではない神社も、多くはないですが、存在します。
そうした神社についても、こちらのページで一覧にしています。ビックリするぐらい有名な神社も含まれていたりするので、「別表神社」にこだわりすぎるあまり、こうした重要な神社を見逃さないよう、気を付けたいものです。
三点目に、日本には社格にこだわらず、霊験あらたかとされるパワースポットとしての神社が点在しています。そうしたパワースポットに、別表神社の各社が当てはまらない、というケースはあり得ます。
パワースポットへの訪問も、通常は明確な目的を持ったものとなるので、「さて、どの神社に行こう?」という時とは若干違いがありますが、「別表神社」にこだわりすぎると、他の神社に参拝後に、「近くに全国的に有名なパワースポットの神社が、実はあった」ということも無きにしも非ず。
まとめ
以上、「さて、どの神社に行こう?」と思い立った時、近くに別表神社はあるかな? とか、探し当てたこの神社は別表神社かな? など、確認のためにも、「別表神社」というキーワードは有効だと思います。神社本庁が推していることでも何でもありません。神社本庁の公式サイトにも、おそらく「別表神社」という言葉すら出てこないかもしれません。
つまり、別表神社はあくまでも神社本庁の内部事情の賜物、なのではありますが、すでにある枠組みを活かした神社巡りというのも、ある意味では効率的です。
個人的には神社は多かれ少なかれ『古事記』やその世界と触れ合える場。意外な神社が別表神社になっていたりして、参拝すると、また新たな出会いがあったり、そうした楽しみもあります。
こちらに、別表神社、と、そうではない神社の一覧、都道府県別へのリンクがありますので、ご参考になれば。
【関連記事】
・別表神社とは? - 神社本庁が包括している一部の神社の総称、現代の社格・官国幣社とも
・神社いろいろ - これで神社のおよそが分かる! 社格や形式などで神社を分類したまとめ
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