あんば囃子の「あんばさま」は、日本で唯一の夢むすび大明神
[住所]茨城県稲敷市阿波958
[電話]029-894-2613

大杉神社(おおすぎじんじゃ)は、茨城県稲敷市阿波にある神社。通称はあんばさま。関東、東北地方に分布する大杉神社の総本社で、日本で唯一の夢むすび大明神として知られる。近代社格では郷社、現在は神社本庁の別表神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

一帯は『常陸国風土記』信太郡の条にある「乗濱」にあたる。『大杉神社略縁起』によれば、同じく阿波の高台は「安婆島」にあたる。この先端に巨杉があり、香取海の航路標識であるとともに、村の守護神として信仰されていた。

神護景雲元年(767年)、僧勝道が下野国日光への道中、当地を訪れ、蔓延していた疫病の退散を巨杉に祈願した。すると三輪明神が現れて蔓延が収まったので、祠を造立して大杉大明神として奉斎したという。

主祭神は、倭大物主櫛甕玉命(やまとおおものぬしくしみかたまのみこと)。

延暦年間(782年-806年)、僧快賢が龍華山慈尊院安穏寺を開基。『利根川国誌』に、快賢は「逆賊降伏の為め大師(注・勝道)自ら彫刻なし給ふ四魔降伏の不動明王を乞ひ請給ひ此地に来り霊夢によつて大杉大明神と同じく鎮座なし奉り」とある。

『新編常陸国誌』には「院内(安穏寺)に大杉明神の社あり、この社、後世成る所なれども、遠近の緒人崇敬甚しきゆへに、日を追て社殿を造す、爰を以て、当寺全く其別当の如くなれり」とある。

文治年間(1185-1189年)、源義経の家来常陸坊海存(海尊)が大杉大明神の御神徳により様々な奇跡を起こした。ここから海存を通じて願をかけると、大杉大明神が叶えてくれるという信仰が生じた。

仁治2年(1241年)に京都の今宮神社から大己貴命少彦名命の二柱を勧請し合祀した。

江戸時代以降、疱瘡除けや水上交通の神として、関東一円と東北の太平洋側に信仰が広がった。愛称の「あんばさま(阿波様)」は、『デジタル大辞泉』では「千葉県から東北地方にかけての太平洋岸の漁村で信仰されている神」と説明されている。

記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財に指定されているあんば囃子は、悪魔払い囃子とも呼ばれ、元和3年(1617年)に銚子の田中玄蕃が醤油の醸造の成功祈願の御礼として、十二座神楽とともに紀州より伝えられたのが原初とされる。

境内にある大杉が御神体であり、社名の由来でもある。太郎杉、二郎杉、三郎杉からなる三本杉だったが、太郎杉は寛政10年(1878年)に焼失した。二郎杉は樹齢およそ1000年、樹高40メートル、三郎杉は樹高28メートル。明治6年(1873年)10月、村社に列格。

境内社である勝馬神社は、古名を「馬櫪社」といい、美浦村信太に常陸国諸国牧(兵部省管轄の牧場)の信太馬牧があり、そこで馬体守護のため貞観4年(862年)に創祀された。馬櫪(ばれき)は馬屋の根太(床板を受ける横木)の意で、転じて飼い葉桶、または馬屋そのものを指す。

平安末期に馬牧が廃絶すると、稲敷市幸田を経て、当社境内に遷座した。かつては安穏寺裏に競馬場があり、昭和初期まで奉納競馬が行われていた。日本中央競馬会(JRA)美浦トレーニングセンターの関係者が祈願に訪れることでも知られている。

例祭は10月27日。その前の第4土曜日と翌日曜日に大杉祭(秋の大祭あんばまち)が行われる。各シーズンに合わせた夢むすび開運特別祈祷祭が行われる。

【ご利益】
厄除け、縁結び、悪縁切り、家内安全、金運、仕事運など(公式HP
大杉神社(稲敷市) - あんば囃子の「あんばさま」は、日本で唯一の夢むすび大明神
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