550年前に江戸城を築城した太田道灌が勧請・整備した、東京の七つの稲荷
道灌七稲荷 - 550年前に江戸城を築城した太田道灌が勧請・整備した、東京の七つの稲荷
道灌七稲荷(どうかんなないなり/どうかんしちいなり)は、太田道灌が長禄元年(1457年)、江戸築城の際、方除け守護神として江戸周辺に祀ったとされる七つの稲荷社の総称である。江戸で有名だった神が宿る森「江戸廿一森」に含まれる。また、江戸三森がその基礎となる。

道灌七稲荷は、明確な伝承として現在にも伝わっている神社は数えるほどで、比定に関しても一部で行われているだけで、系統立てた調査研究は皆無と言える。後世の付会説が主流で、稲荷の音読み「とおか」が訛って「とおかん」となり、道灌(どうかん)と結びつける考えが生まれた、とも。

また、方除けにしては東に偏っているのもおかしいし、道灌の稲荷ですぐに思いつく太田姫稲荷神社が含まれていない点も、よく分からない。ただ、道灌が稲荷を実際に勧請しているのはいくつかの神社で明確に由緒として伝わっているのは事実。

基準としては「江戸の森」(江戸廿一森には、江戸三森の他に、江戸七森江戸八森などもある)と、今現在そこに鎮座する神社としており、道灌が勧請創建した稲荷そのものではない場合がある。

そもそも、道灌七稲荷には、道灌が勧請創建したもの以外、古来から祭祀が行われていた社を、道灌の時代になって改めて再建奉斎する、という形態のものも含まれている。

後世付会説はありながら、それでも、それだからこそ、江戸、そして東京における太田道灌の象徴的存在を語る上では、見逃せない一覧と言える。

柳森稲荷 柳森神社

柳森神社 - 太田道灌の江戸築城で鬼門除けとして勧請創建、境内社“御狸様”の信仰篤い
[説明]五代将軍母ゆかり“御狸様”の信仰
[社格]三森 - 七森 - 八森 - 廿一森
[住所]千代田区神田須田町2-25-1
[電話]03-3251-6422

烏森稲荷 烏森神社

烏森神社 - 将門の乱を鎮めた藤原秀郷が神恩感謝で創建、明暦の大火乗り越え江戸期に興隆
[説明]明暦の大火乗り越え江戸期に興隆
[社格]三森 - 七森 - 八森 - 廿一森 - 江戸将門
[住所]港区新橋2-15-5
[電話]03-3591-7865

杉森稲荷 椙森神社

椙森神社 - 太田道灌が伏見稲荷を、吉川惟足が恵比寿を勧請、3年に一度の大神輿渡御
[説明]3年に一度の大神輿渡御が有名
[社格]三森 - 七森 - 八森 - 廿一森 - 日本橋七福神
[住所]中央区日本橋堀留町1丁目10-2
[電話]03-3661-5462

雀森稲荷 黒船稲荷神社

黒船稲荷神社 - 雀森・於三稲荷の近く、『東海道四谷怪談』の著者・鶴屋南北の終焉の地
[説明]於三稲荷の近く、鶴屋南北の終焉地
[社格]廿一森
[住所]江東区牡丹1-12-9
[電話]03-3647-9111

吾嬬森稲荷 吾嬬神社

吾嬬神社 - ヤマトタケルとオトタチバナの物語が今に残る、海上守護・墨田の「吾嬬の森」
[説明]日本武尊と弟橘姫の伝説と御神木
[社格]七森 - 廿一森
[住所]墨田区立花1-1-15
[電話]03-3612-4464

宮戸森稲荷 諏訪神社(台東区駒形)

諏訪神社(台東区駒形) - 鎌倉期の創建、江戸時代を通じて崇敬された宮戸森の可能性
[説明]鎌倉期前後に創建された古社
[社格]廿一森 - 村社
[住所]台東区駒形1-4-15
[電話]03-3841-6115

東灌森稲荷 東灌森稲荷神社

東灌森稲荷神社 - 道灌七稲荷の一社、江戸末期から明治初期に参詣者で賑わった下町信仰
[説明]江戸末期に人気だった下町信仰
[社格]廿一森
[住所]北区東田端1-11-1
[電話]03-3894-2619

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