国の重要無形民俗文化財に「戸畑祇園大山笠行事」として指定されている北九州市の戸畑祇園大山笠が2015年10月4日、全国八幡宮の総本宮、宇佐神宮(大分県宇佐市)に奉納されました。10年に一度の勅使祭(勅祭)を祝うためです。九州全体で、祝賀ムードが盛り上がっています。

「戸畑祇園大山笠」は、伊勢の神宮(伊勢神宮=上の動画)、出雲大社などでも遷宮など大きなイベントで奉納しています。「光のピラミッド」と呼ばれる勇壮かつ華麗な山笠が、かけ声とともに参道を練り歩く姿は圧巻。

第一回の勅祭が養老4年(720年)のことですので、ほとんど『古事記』とともに歩んできた宇佐神宮の勅祭・臨時奉幣祭。今回で実に256回目を数えます。特に今回は、本殿国宝)の修繕完工においても勅使を迎えて祭典が行われたため、年二度も勅祭が執り行われる異例の年となりました。

それにしても、日本古代史上最大の謎の一つ「なぜ、朝廷は宇佐神宮を重視し続けたのか」は、現在もなお、「なぜ、皇室は勅使を派遣してまで宇佐神宮を重視し続けるのか」という問いに変わりながらも、現在進行形、リアルタイムの謎になっている、それが宇佐神宮の勅祭・臨時奉幣祭です。

あまり報道されませんが、宇佐神宮の臨時奉幣祭の後すぐに、福岡市の香椎宮でも10年に一度の臨時奉幣祭が10月9日に執り行われます。宇佐神宮はともかく、香椎宮は一般的に言って、歴史的に見て、極めて重要な神社、とはみなされない傾向にあります。

しかし、大正年間に固まったこの九州二社に対する10年に一度の勅祭の慣習ではありますが、それまでの歴史の積み重ねがもちろんあった上でのことであることはもちろん、宇佐神宮の謎は、「なぜ、香椎宮で勅祭が行われるのか」という謎を生み、そしてこの謎こそ、宇佐神宮の謎とも連動し、かつより根幹を示す謎なのではないか、という気がします。

それは、香椎宮がどのようなところなのか、宇佐神宮(の主祭神)とどのような関係があるのか、というところにヒントがあるような気がします。まさに、日本最大の信仰ともいうべき八幡信仰の深秘そのものなのかもしれません。

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