よく言われるのに資料のない不思議な菅公巡拝、東京の代表的な天満宮
江戸二十五天神 - よく言われるのに資料のない不思議な菅公巡拝、東京の代表的な天満宮
江戸二十五天神とは、よく言われる、ネット上でもかなり散見できる言葉の割に、その元資料を見つけることができない二十五天神。中川和明「天神信仰の地域的展開-江戸・東京の天満宮巡拝を例に-」(『日本宗教文化史研究』(第18巻2号 通巻36号、2014年11月))に行き当たったが、ここにもそのものズバリの言葉は出てこない。

江戸中後期から、特に「菅公九百年忌」、つまり享和2年(1802年)前後から明治期にかけて盛んに言われ始めた、菅原道真を御祭神とする天神・天満宮の巡拝コースと考えられるだろう。主に下記のものがある。

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』) MAP
『武陽菅原詣』収録の天神 MAP
東都七天神『菅神御一代文章』 MAP
東都二十五天神(『卯花園漫録』) MAP
府内天神(『江戸拾葉』) MAP
菅祠二十五社(『霊神仏之記』) MAP
御内府及び御内府近辺二十五天神(『天満宮御伝記略』) MAP
東京天満宮二十五社(『菅原大神千年大祭図会』) MAP

これらの中で、一度でも出てきており、なおかつ現在に至るまで廃絶・不詳ではない天神・天満宮を抽出した。下記NOは巡拝順ではない。現在使われている東京都の区や市の並びに準じた。天神の名称は歴史的なものを尊重しつつ、手を加えるべきは手を加え、また妥当な程度に追加した。

なお、似たものに、東京梅風会の会員名簿である「東京の天神さま32社」がある。 

NO.1 平河天神 平河天満宮

平河天満宮 - “宮城に一番近い神社”湯島・亀戸と比肩する、江戸を代表する平河天神
[説 明]江戸三大天神
[現住所]千代田区平河町1丁目7-5
[電 話]03-3264-3365

NO.2 中坂天神 築土神社

築土神社 - 将門ゆかりの勝守が有名な勝運と武勇長久の神、日本武道館の氏神、中坂天神
[説 明]将門ゆかりの勝守が有名
[現住所]千代田区九段北1丁目14-21
[電 話]03-3261-3365

NO.3 楓川天神 日枝神社日本橋摂社

日枝神社日本橋摂社 - 寛永年間に創建された山王日枝神社の摂社、茅場町天神・楓川天神
[説 明]山王日枝神社の摂社
[現住所]中央区日本橋茅場町1丁目6-16
[電 話]03-3666-3574

NO.4 茅野天神 茅野天満宮

幸稲荷神社(港区) - 幸事が続出して社号が定着、病気平癒の神や社宝も、茅野天神
[説 明]幸稲荷神社に合祀
[現住所]港区芝公園3丁目5-27
[電 話]03-3431-8281

NO.5 飯倉天神 天満神社

芝大神宮 - 頼朝、直義、秀吉、家康が崇敬した「関東のお伊勢様」、鎮座1000年
[説 明]芝大神宮に合祀
[現住所]港区芝大門一丁目12番7号
[電 話]03-3431-4802

NO.6 愛宕天神 天神社

愛宕神社(港区) - 東京23区最高峰26メートル愛宕山に鎮座する火防の神、出世の石段
[説 明]日本三大愛宕・愛宕神社に合祀
[現住所]港区愛宕1丁目5番3号
[電 話]03-3431-0327

NO.7 青山天神 天神の飛梅祠

江戸二十五天神・青山天神
[説 明]根津美術館の庭園内に鎮座
[現住所]港区南青山6-5-1
[電 話]03-3400-2536

NO.8 西向天神 西向天神社

西向天神社 - 東大久保村の鎮守社、大久保の天満宮として知られる、江戸期の有力天神
[説 明]東大久保村の鎮守社
[現住所]新宿区新宿6-21-1
[電 話]03-3351-5875

NO.9 高田天神 北野神社

水稲荷神社 - 江戸中最古の冨士塚、眼病と水商売・消防に霊験ある霊水で有名、高田天神
[説 明]水稲荷神社の境内社
[現住所]新宿区西早稲田3丁目5-43
[電 話]03-3200-4621

NO.10 成子天神 成子天神社

成子天神社 - 成子・鳴子天神と呼ばれる江戸二十五天神の一社、新宿区内最大の富士塚
[説明]新宿区内最大の富士塚
[住所]新宿区西新宿8丁目14−10
[電話]03-3368-6933

NO.11 蛍雪天神 蛍雪天神

赤城神社(新宿区) - 香取神宮御祭神の親神を祀る、江戸の大社ともされた古社、蛍雪天神
[説明]赤城神社の境内社
[住所]新宿区赤城元町1-10
[電話]03-3260-5071

NO.12 大橋天神 天神町北野神社

天神町北野神社 - 新宿に残る天神町の地名由来、江戸初期頃から天神信仰が盛んな土地柄
[説 明]江戸初期頃から天神信仰が盛ん
[現住所]新宿区天神町63
[電 話]-

NO.13 元天神 天神社

鎧神社 (新宿区) - ヤマトタケルが鎧を埋め、平将門の鎧が埋められた古社、境内に元天神
[説明]鎧神社の境内社
[住所]新宿区北新宿3-16-18
[電話]03-3371-7324

NO.14 湯島天神 湯島天満宮

湯島天満宮 - 東京最強の学問の神様、元はアメノタヂカラオを祀り、後に合祀
[説 明]江戸三大天神関東三大天神
[現住所]文京区湯島3丁目30番1号
[電 話]03-3836-0753

NO.15 牛天神 牛天神北野神社

北野神社(文京区) - 牛天神、頼朝も吉事に授かる、撫で牛を撫でると願い事が叶う!
[説 明]撫で牛を撫でると願い事が叶う
[現住所]文京区春日1丁目5-2
[電 話]03-3812-1862

NO.16 櫻木天神 櫻木神社

櫻木神社(文京区) - 往古からの「本郷真光寺の天神」、サ・ク・ラ・サ・ク桜木天神
[説 明]本郷真光寺の櫻木天神
[現住所]文京区本郷4丁目3-1
[電 話]03-3811-8535

NO.17 根津天神 根津神社の相殿

根津神社 - 文京つつじまつりで知られ、社殿は綱吉の「天下普請」 六代綱豊ゆかり
[説明]社殿は綱吉の「天下普請」
[住所]文京区根津一丁目28番9号
[電話]03-3822-0753

NO.18 下谷天神 五條天神社

五條天神社 - ヤマトタケル創建の医薬祖神、3年に一度の大神輿渡御がある、下谷天神
[説 明]ヤマトタケル創建の医薬祖神
[現住所]台東区上野公園4-17
[電 話]03-3823-2034

NO.19 箕輪天神 梅林寺 綱敷天満宮

綱敷天満宮(台東区、梅林寺) - 道真の師の作によると伝わる天神尊像を祀る、箕輪天神
[説 明]道真の師の作と伝わる天神尊像
[現住所]台東区三ノ輪1丁目27-3
[電 話]03-3872-2611

NO.20 化用天神 化用天神

江戸二十五天神・化用天神
[説 明]浄念寺
[現住所]台東区蔵前4-18-11
[電 話]03-3851-1921

NO.21 渡江天神 小野照崎神社

小野照崎神社 - 渥美清が寅さん役をゲットしたご利益で知られる学問の神様、渡江天神
[説 明]学問の神様、下町八福神
[現住所]台東区下谷2丁目13-14
[電 話]03-3872-5514

NO.22 富坂天神 平野天満宮

藏前神社 - 五代将軍綱吉が石清水八幡宮を勧請、相撲と古典落語ゆかり、富坂天神とも
[説 明]江戸八森でもある藏前神社に合祀
[現住所]台東区蔵前3-14-11
[電 話]03-3851-0617

NO.23 亀戸天神 亀戸天神社

亀戸天神社 - 江戸期に創建された東の太宰府天満宮、東京の学問の神様最高峰の一社
[説 明]江戸三大天神関東三大天神
[現住所]江東区亀戸3丁目6番1号
[電 話]03-3681-0010

NO.24 深川天神 天満天神社

富岡八幡宮 - 天皇皇后両陛下もご観覧された江戸三大祭・深川祭で有名な深川八幡
[説 明]江戸八所八幡宮の富岡八幡宮境内社
[現住所]江東区富岡1丁目20番3号
[電 話]03-3642-1315

NO.25 子安天神 子安天満宮

菅原神社(豊島区) - 子安天満宮で知られる巣鴨天神山、戦国期に保坂氏が当地に勧請
[説 明]菅原神社(豊島区)
[現住所]豊島区北大塚1-7-3
[電 話]-

NO.26 石浜天神 北野神社

石浜神社 - 源頼朝など関東武将の崇敬厚かった橋場・真崎の「神明さん」、石浜天神
[説 明]石浜神社の境内社
[現住所]荒川区南千住3丁目28-58
[電 話]03-3801-6425

NO.27 関屋天神 関屋天満宮

氷川神社(千住仲町) - 東都七福神の関屋天満宮、千住七福神の弁財天、5年に一度の大祭
[説 明]氷川神社(千住仲町)の境内社
[現住所]足立区千住仲町48-2
[電 話]03-3881-5271

NO.28 谷保天神 谷保天満宮

谷保天満宮 - 東日本最古の天満宮で、交通安全祈願の発祥の地、武蔵国式内論社
[説 明]関東三大天神
[現住所]国立市谷保5209
[電 話]042-576-5123

【参考文献】
・中川和明「天神信仰の地域的展開-江戸・東京の天満宮巡拝を例に-」 - 『日本宗教文化史研究』(第18巻2号 通巻36号、2014年11月)

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