1817年刊行『菅丞相往来』新板の天満宮計18社、江戸二十五天神
東都御府内天満宮諸社 - 1817年刊行『菅丞相往来』新板の天満宮計18社、江戸二十五天神
東都御府内天満宮諸社とは、原本が寛政5年(1793年)に刊行され、新板は文化14年(1817年)に刊行された『菅丞相往来』に記載されている江戸の有力な天神・天満宮20社、二つに分けるのが妥当だと思われるものを換算して、計22社である。江戸二十五天神の形成に寄与した一覧の一つと考えられる。

よく言われる「江戸二十五天神」は、そのものズバリの文献はない。江戸中後期から、特に「菅公九百年忌」、つまり享和2年(1802年)前後から明治期にかけて盛んに言われ始めた、菅原道真を御祭神とする天神・天満宮の巡拝の一覧と考えられるだろう。『菅丞相往来』を除けば、主に下記のものがある。

『武陽菅原詣』収録の天神
東都七天神『菅神御一代文章』
東都二十五天神(『卯花園漫録』)
府内天神(『江戸拾葉』)
菅祠二十五社(『霊神仏之記』)
御内府及び御内府近辺二十五天神(『天満宮御伝記略』)
東京天満宮二十五社(『菅原大神千年大祭図会』)

『菅丞相往来』は、時代的にも、江戸における菅公巡拝の勧めのはしりと言える。廃絶・合祀・不詳のものもあるが、この時にほぼすでに江戸二十五天神の骨子は固まっていたようだ。

NO.1 亀戸御社 亀戸天神社

亀戸天神社 - 江戸期に創建された東の太宰府天満宮、東京の学問の神様最高峰の一社
[説明]江戸三大天神関東三大天神
[住所]江東区亀戸3丁目6番1号
[電話]03-3681-0010

NO.2 高田天神社  北野神社

水稲荷神社 - 江戸中最古の冨士塚、眼病と水商売・消防に霊験ある霊水で有名、高田天神
[説明]水稲荷神社の境内社
[住所]新宿区西早稲田3丁目5-43
[電話]03-3200-4621

NO.3 本江天神社 櫻木神社

櫻木神社(文京区) - 往古からの「本郷真光寺の天神」、サ・ク・ラ・サ・ク桜木天神
[説明]本郷真光寺の櫻木天神
[住所]文京区本郷4丁目3-1
[電話]03-3811-8535

NO.4 大久保天満宮 西向天神社

西向天神社 - 東大久保村の鎮守社、大久保の天満宮として知られる、江戸期の有力天神
[説明]東大久保村の鎮守社
[住所]新宿区新宿6-21-1
[電話]03-3351-5875

NO.5 業平天神社 現存せず

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』)・
[説明]南蔵院。葛飾区東水元に移転
[住所]墨田区吾妻橋3-6付近
[電話]-

NO.6 小石川天神 現存せず

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』)・
[説明]龍泉寺
[住所]文京区白山4-37-10
[電話]-

NO.7 小石川牛天神 牛天神北野神社

北野神社(文京区) - 牛天神、頼朝も吉事に授かる、撫で牛を撫でると願い事が叶う!
[説明]撫で牛を撫でると願い事が叶う
[住所]文京区春日1丁目5-2
[電話]03-3812-1862

NO.8 湯島天満宮 湯島天満宮

湯島天満宮 - 東京最強の学問の神様、元はアメノタヂカラオを祀り、後に合祀
[説明]江戸三大天神関東三大天神
[住所]文京区湯島3丁目30番1号
[電話]03-3836-0753

NO.9 平河天神社 平河天満宮

平河天満宮 - “宮城に一番近い神社”湯島・亀戸と比肩する、江戸を代表する平河天神
[説明]江戸三大天神
[住所]千代田区平河町1丁目7-5
[電話]03-3264-3365

NO.10 茅場町天神 日枝神社日本橋摂社

日枝神社日本橋摂社 - 寛永年間に創建された山王日枝神社の摂社、茅場町天神・楓川天神
[説明]山王日枝神社の摂社
[住所]中央区日本橋茅場町1丁目6-16
[電話]03-3666-3574

NO.11 茅野天神 茅野天満宮

幸稲荷神社(港区) - 幸事が続出して社号が定着、病気平癒の神や社宝も、茅野天神
[説明]幸稲荷神社に合祀
[住所]港区芝公園3丁目5-27
[電話]03-3431-8281

NO.12 関屋天神 関屋天満宮

氷川神社(千住仲町) - 東都七福神の関屋天満宮、千住七福神の弁財天、5年に一度の大祭
[説明]氷川神社(千住仲町)の境内社
[住所]足立区千住仲町48-2
[電話]03-3881-5271

NO.13 下谷天神社 現存せず

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』)・
[説明]五條天神社に合祀
[住所]台東区上野公園4-17
[電話]-

NO.14 五條天神 五條天神社

五條天神社 - ヤマトタケル創建の医薬祖神、3年に一度の大神輿渡御がある、下谷天神
[説明]ヤマトタケル創建の医薬祖神
[住所]台東区上野公園4-17
[電話]03-3823-2034

NO.15 天満宮牛天神 不詳

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』)・
[説明]-
[住所]-
[電話]-

NO.16 菅原天神 現存せず

東都御府内天満宮諸社(『菅丞相往来』)・菅原天神
[説明]法善寺
[住所]台東区東上野6-17-3
[電話]-

NO.17 巣鴨天神山 子安天満宮

菅原神社(豊島区) - 子安天満宮で知られる巣鴨天神山、戦国期に保坂氏が当地に勧請
[説明]菅原神社(豊島区)
[住所]豊島区北大塚1-7-3
[電話]-

NO.18 天神社 梅林寺 綱敷天満宮

綱敷天満宮(台東区、梅林寺) - 道真の師の作によると伝わる天神尊像を祀る、箕輪天神
[説明]道真の師の作と伝わる天神尊像
[住所]台東区三ノ輪1丁目27-3
[電話]03-3872-2611

【参考文献】
・中川和明「天神信仰の地域的展開-江戸・東京の天満宮巡拝を例に-」 - 『日本宗教文化史研究』(第18巻2号 通巻36号、2014年11月)

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