よく言われる「江戸二十五天神」は、そのものズバリの文献はない。江戸中後期から、特に「菅公九百年忌」、つまり享和2年（1802年）前後から明治期にかけて盛んに言われ始めた、菅原道真を御祭神とする天神・天満宮の巡拝の一覧。『菅原大神千年大祭図会』を除けば、主に下記のものがある。

・東都御府内天満宮諸社（『菅丞相往来』）
・『武陽菅原詣』収録の天神
・東都七天神（『菅神御一代文章』）
・東都二十五天神（『卯花園漫録』）
・府内天神（『江戸拾葉』）
・菅祠二十五社（『霊神仏之記』）
・御内府及び御内府近辺二十五天神（『天満宮御伝記略』）

およそ時代順。そして、『菅原大神千年大祭図会』は「菅公一千年忌」、つまり明治35年（1902年）の際の状況を示しているものであり、江戸二十五天神の最終形態というのは、つまり菅公巡拝が盛んになったこの100年間の集大成である可能性が高いという意味でもある。

この東京天満宮二十五社になって初めて、国立市の谷保天満宮が掲載されている。これは、それまでの枠が“江戸”だったものが、ここにおいて“東京”に変わったのも要因と思われる。

谷保天満宮が“江戸府内”という認識は江戸期にはなかったようで、谷保天満宮は関東三大天神の一つかもしれないが、当宮を江戸三大天神とするという現状の通説は見直す必要があるかもしれない。

なお、下記のNOは巡拝順。このように巡れ、また電車を使うべし、などの指示があるという。

東部

NO.1 亀戸天神　亀戸天神社

［旧住所］南葛飾郡亀戸村
［説　明］江戸三大天神、関東三大天神
［現住所］江東区亀戸3丁目6番1号
［電　話］03-3681-0010

NO.2 深川天神　天満天神社

［旧住所］深川区富岡八幡の摂社
［説　明］富岡八幡宮の境内社
［現住所］江東区富岡1丁目20番3号
［電　話］03-3642-1315

NO.3 楓川天神　日枝神社日本橋摂社

［旧住所］日本橋区南茅場町日吉御旅所境内
［説　明］山王日枝神社の摂社
［現住所］中央区日本橋茅場町1丁目6-16
［電　話］03-3666-3574

南部

NO.4 飯倉天神　天満神社

［旧住所］芝区芝神明宮の摂社
［説　明］芝大神宮に合祀
［現住所］港区芝大門一丁目12番7号
［電　話］03-3431-4802

NO.5 茅野天神　茅野天満宮

［旧住所］芝区切通し上瘡守稲荷合祀
［説　明］幸稲荷神社に合祀
［現住所］港区芝公園3丁目5-27
［電　話］03-3431-8281

NO.6 花城天神　現存せず

［旧住所］芝区白金丹波山松久寺
［説　明］松久寺。鎌倉市に移転
［現住所］港区高輪1-23-34付近
［電　話］-

NO.7 福吉天神　現存せず

［旧住所］赤坂区福吉町黒田侯爵邸内
［説　明］黒田侯爵邸内
［現住所］港区赤坂2-15～23付近
［電　話］-

中部

NO.8 平河天神　平河天満宮

［旧住所］麹町区元平河町
［説　明］江戸三大天神
［現住所］千代田区平河町1丁目7-5
［電　話］03-3264-3365

NO.9 中坂天神　築土神社

［旧住所］麹町区飯田町中坂世継稲荷境内
［説　明］将門ゆかりの勝守が有名
［現住所］千代田区九段北1丁目14-21
［電　話］03-3261-3365

NO.10 牛天神　牛天神北野神社

［旧住所］小石川区大和町
［説　明］撫で牛を撫でると願い事が叶う
［現住所］文京区春日1丁目5-2
［電　話］03-3812-1862

NO.11 桜木天神　櫻木神社

［旧住所］本郷区真砂町
［説　明］本郷真光寺の櫻木天神
［現住所］文京区本郷4丁目3-1
［電　話］03-3811-8535

NO.12 湯島天神　湯島天満宮

［旧住所］本郷区湯島梅園町
［説　明］江戸三大天神、関東三大天神
［現住所］文京区湯島3丁目30番1号
［電　話］03-3836-0753

北部

NO.13 下谷天神　五條天神社

［旧住所］下谷区三橋町五条天神社合殿
［説　明］ヤマトタケル創建の医薬祖神
［現住所］台東区上野公園4-17
［電　話］03-3823-2034

NO.14 渡江天神　小野照崎神社

［旧住所］下谷区坂本小野照崎社合祀
［説　明］学問の神様、渡江天神
［現住所］台東区下谷2丁目13-14
［電　話］03-3872-5514

NO.15 化用天神　浄念寺の化用天神

［旧住所］浅草区栄久町浄念寺
［説　明］-・東京都の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、東京都に鎮座している神社の一覧