読み:えいほうじかんのんどう
員数:1棟
種別:建造物の部 近世以前/寺院
時代:室町前期 室町前期年(1333-1392年)
重文:1901.03.27(明治34.03.27)
国宝:1952.03.29(昭和27.03.29)
都道府県:岐阜県
所在地:多治見市虎渓山町
所有者:永保寺
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永保寺の観音堂は、『夢窓年譜』に正和3年(1314年)に観音閣建立がみえるが、現在の観音堂は様式上より南北朝期に下っての建立であろう。

方三間の主屋に裳階をつけ、檜皮葺入母屋造の屋根をあげた中形禅宗仏殿で、庭園と調和した瀟洒な意匠になる。

すなわち、本格的な禅宗様仏殿と異なって低い床を設け、軒をあっさりした板軒とし、組物は柱上だけに出組をあげて詰組とせず、禅宗様を簡略化しながら前面を吹放して外観に深い陰影をあたえている。

内部は来迎壁を主屋後面中央間に設けて禅宗様仏壇をおき、岩窟内の観音坐像を安置する。

主屋上部は一面に鏡天井を張り、裳階では海老虹梁をみせるが、前面吹放しではこれを略し、手挟で飾っている。

これらの簡略化による意匠は日本化の表れとして重視される。

なお、永保寺は開山堂も国宝に指定されている。
国宝「永保寺観音堂」(岐阜県多治見市)