読み:いつくしまじんじゃほんしゃほんでん、へいでん、はいでん
員数:1棟
種別:建造物の部 近世以前/神社
時代:室町後期 本殿:元亀2年(1571年)、幣殿と拝殿:仁治2年(1241年)
重文:1899.04.05(明治32.04.05)
国宝:1952.03.29(昭和27.03.29)
都道府県:広島県
所在地:廿日市市宮島町
所有者:厳島神社
管理者:-

厳島神社の本社本殿は、繊細かつ華麗な切妻両流造りで、正面には緑青塗りの引き違いの菱形の格子戸がはめられている。

屋根に神社の定番とも言える千木と鰹木を持たず、桧皮葺の屋根に瓦を積んだ化粧棟のスタイルを取り入れた寝殿造りならではの様式が特徴。現在の本殿は元亀2年(1571年)、毛利元就によって改築された。

広さは、正面八間・背面九間・梁間四間で、床面積は出雲大社本殿の二倍の大きさ。岡山市の吉備津神社本殿に匹敵する。

幣殿と拝殿は、貞応2年(1223年)の火災による焼失を経て、仁治2年(1241年)に再建されたもの。

幣殿は、本殿・拝殿間をつなぐ廊に屋根を付けた形になり、方一間、両下造(りょうさげづくり)とする。両下造とは、切妻造と同じ屋根形態だが、両端が別の建物に接するため妻面がないものを指す。

拝殿は、入母屋造、桁行十間、梁間三間で、組物は舟肘木を用いる。神社の本殿・拝殿の正面柱間は三間、五間などの奇数となるのが普通だが、本殿同様、偶数が用いられている。

拝殿も本殿と同様に左右非対称で、右から五間目の柱間のみが特に広く、この部分に幣殿が取り付く。拝殿内部は、柱の省略がなく、一間ごとに規則的に柱が立つ。

梁間三間のうち、中央の一間と奥(南側)の一間とはそれぞれ化粧屋根裏とする。化粧屋根裏とは、天井を張らず、桁、垂木等の構造材をそのまま見せるもので、建物内部から見上げると、切妻造の建物二つが前後に接して建っているように見える。

この二つの棟を覆って建物全体の棟があることから、全体を「三棟造」といい、この拝殿のことを別名「三棟」ともいった。

なお、拝殿から大鳥居からの距離は、百八間(約196メートル)といわれる。

厳島神社全体として、世界文化遺産「厳島神社」に登録されている。本件の他に、本社祓殿摂社客神社本殿・幣殿・拝殿、祓殿東西廻廊の計6棟が国宝に指定されている。
国宝「厳島神社本社本殿、幣殿、拝殿」(広島県廿日市市)
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