読み:いそのかみじんぐうせっしゃいずもたけおじんじゃはいでん
員数:1棟
種別:建造物の部 近世以前/神社
時代:鎌倉後期 正安2年(1300年)
重文:1916.05.24(大正5.05.24)
国宝:1954.03.20(昭和29.03.20)
都道府県:奈良県
所在地:天理市布留町
所有者:石上神宮
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石上神宮の摂社である出雲建雄神社の拝殿は、桁行五間、梁間一間の割拝殿の形式である。これは鎌倉後期の正安2年(1300年)の建造で、割拝殿の中では現存最古である。

元は石上神宮の南に存在していた内山永久寺の鎮守社、住吉神社(住吉社)の拝殿であったものを、大正3年(1914年)に現在地へと移築したもの。

内山永久寺は平安時代末期に創建された寺院で、石上神宮の神宮寺的な存在でもあったが、明治期における廃仏毀釈によって明治9年(1876年)に廃絶していた。

その後、住吉社の本殿は、明治23年(1890年)に放火によって焼失。そのため、拝殿だけが荒廃して残されていた。

現在の出雲建雄神社の拝殿は、唯一現存する内山永久寺の遺構。その屋根は桧皮葺の切妻造。正面、背後、および馬道の左右には引き違いの格子戸が入り、側面には両開きの板扉が設けられる。

馬道上部には唐破風が備えられ、梁の上には鎌倉時代特有の素朴ながら美しい蟇股が乗る。

しかし、本来は、中央の馬通を通り、その奥の本殿へ参拝するのが割拝殿の役割となるが、現在は割拝殿だけがぽつんと存在する形で、周囲は立ち入り禁止、拝殿の役割は果たしていない。

石上神宮の社殿から階段で登って来た参拝者から見れば、右手にこの拝殿があり、左手に出雲建雄神社の本殿がある。普通に考えれば、本殿を先にお参りし、拝殿を見学することになる。
国宝「石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿」(奈良県天理市)
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