読み:うじがみじんじゃはいでん
員数:1棟
種別:建造物の部 近世以前/神社
時代:鎌倉前期 文治元年-文永11年(1185年-1274年)
重文:1902.07.31(明治35.07.31)
国宝:1952.11.22(昭和27.11.22)
都道府県:京都府
所在地:宇治市宇治山田
所有者:宇治上神社
管理者:-

宇治上神社の拝殿は本殿の前の一段低くなったところに建つ横長の拝殿である。母屋の両妻にそれぞれ一間の庇を取りつけ、切妻造の妻に縋破風で庇屋根を連結しているので、入母屋造のような外観を呈する。

平面をみると、母屋の桁行は五間であるが、外観上向かって左に短い柱間の一間を付加し、これを庇に取りこんでいる。

四周に高欄付の縁をめぐらし、正面中央一間を向拝としてここの階段を設ける。柱は母屋を丸柱、庇と向拝を面取柱とし、母屋四隅の柱と庇の各柱上に舟肘木をのせ、他は直接柱が桁をうけている。

正面および背面の中央間に板扉を開くほかは、母屋の建具をすべて蔀戸としているが、庇では蔀と舞良戸を混用する。軒は母屋を二軒、庇を一軒とし、疎垂木を配するが、向拝部分のみが繁垂木となっている。

内部は母屋と両庇の三室からなり、低い床を張り、中央間を格天井、左右の間を棹縁天井とする。

こうしてこの拝殿はあらゆる点で住宅建築に近い趣をもつ。従来この拝殿は宇治離宮の建物を移築したものとする伝えがあったが、当社が離宮社と呼ばれたことと、この拝殿が中世住宅風につくられていることが結びついて、説得力もある。

なお拝殿内に古い蟇股と桟唐戸一対が保存されており、その蟇股は14世紀前半のものとみられる。そのころ再建されたか、あるいは再建に近い大改造が行われたと考えられている。

蟇股と桟唐戸(4枚)は拝殿の附けたりとして、国宝に指定されている。なお、本殿も「宇治上神社本殿」として国宝に指定されている。世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産の一つ。また、日本遺産日本茶800年の歴史散歩」の構成文化財の一つ。
国宝「宇治上神社拝殿」(京都府宇治市)
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