読み:つくぶすまじんじゃほんでん
員数:1棟
種別:建造物の部 近世以前/神社
時代:桃山 身舎:慶長7年(1602年)、向拝及び庇:永禄10年(1567年)
重文:1899.04.05(明治32.04.05)
国宝:1953.03.31(昭和28.03.31)
都道府県:滋賀県
所在地:長浜市早崎町
所有者:都久夫須麻神社
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都久夫須麻神社の本殿は永禄10年再建されたものに、慶長7年、豊臣秀頼が伏見城の建物を寄進して組合せたもので、建立年代の異なる二つの建物を合体して1棟としたもの。

方三間の身舍部分が伏見城の遺構で漆塗、金蒔絵、彫刻、極彩色に鍍金金具を以って装飾し極めて豪華富麗であり、かつ手法の優秀なこと桃山時代の代表的建築といえる。

全体としては、桁行五間、梁間四間で、屋根は入母屋造、檜皮葺とする。側面と背面は「霧除け」と称する板壁で外面を囲う。

身舎部分は方三間(桁行三間、梁間三間)であるが、外側の庇部分とは柱筋が合っていない。正面側では身舎柱と庇柱間を4本の海老虹梁で繋ぐが、これらの虹梁が斜めに取りついており納まりが悪い。

その他、身舎柱が角柱であるのに対し、庇の柱が円柱であること、身舎の柱や扉が黒漆塗であるのに対し、庇が素木仕上げであること、庇の屋根が身舎の柱に取り付いていないことなどからも、身舎と庇が同時の建築でないことを示す。

身舎部は柱、長押などの軸部材を黒漆塗とし、飾金具を使用し、平蒔絵で草花を描く。身舎の正面中央間は黒漆塗の桟唐戸を立て、菊文様の装飾彫刻で飾る。

両脇間は向かって左が菊、右が芙蓉に瑞鳥の彫刻を嵌める。背面中央間の桟唐戸は後補である。両側面の中央間は外面を舞良戸、内側は戸襖とする。背面と側面も両脇間には装飾彫刻がある。

身舎内部は畳敷、天井は折上格天井とする。天井の格間や戸襖には金地着色で菊、松、梅、桐などの植物を描く。庇は正面側を五間とも吹き放しとするが、内法長押より上方には各間とも装飾彫刻を入れる。

庇の両側面は内法上は四間とも装飾彫刻を入れ、内法下は前寄り三間に牡丹唐草の彫刻を入れる。これらの庇部分の彫刻は途中で断ち切られている箇所があり、本来この建物に属していた彫刻ではなく、他の建物からの転用とみられる。
国宝「都久夫須麻神社本殿」(滋賀県長浜市)
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