氣比神宮の奥宮、境内に四社の式内社を抱える養蚕・安産・航海や漁業の守護神
[住所]福井県敦賀市常宮13-11
[電話]0770-26-1040

常宮神社(じょうぐうじんじゃ)は、福井県敦賀市常宮にある神社。参拝すれば、御朱印を頂ける。

『延喜式神名帳』にある「天八百万比咩神社(越前国・敦賀郡)」に比定される式内社(小社)の論社。近代社格では県社。古くは越前国一宮である氣比神宮の奥宮で、摂社だった。

古くは「つねのみや」と呼ばれ、「常宮御前」「常宮大権現」とも。この「常宮」とは、神功皇后の神託「つねに宮居し波風静かなる哉楽しや」にちなむという。

中近世から「じょうぐう」と音読みされるようになり、明治元年(1868年)に現在の社名・読みに定められた。

氣比神宮との関係で言えば、氣比神宮が本宮、口宮、ひもろぎの宮、上社などと呼ばれたのに対して、当社は摂社、奥宮、鏡の宮、下社などと一対でも称された。

御祭神は、本殿(本宮)が天八百萬比咩命(あめのやおよろずひめのみこと、通称「常宮大神」)、神功皇后、仲哀天皇

本殿周囲の東殿宮が日本武命、総社宮が応神天皇、平殿宮が玉姫命(たまひめのみこと、玉妃命。神功皇后の妹)、西殿宮が武内宿禰命

主祭神(氣比神宮は伊奢沙別命)以外、氣比神宮と同じ構成であり、ここでも氣比神宮との関係の深さをうかがわせている。男神(陽神)の氣比神宮と女神(陰神)の当社という関係でもある。

社伝では、主祭神の天八百萬比咩命は上古より当地に鎮まっていたという。

第14代仲哀天皇2年2月に天皇と神功皇后が気比神を拝してから三韓征伐に赴く際、天皇は単身紀伊を経て長門へ向かった。

しかし、皇后はなお常宮に留まって外征の謀をめぐらし、6月初卯の日に出征したと伝える。当社神官が祭祀を行ったとされる常神半島の常神社との関連もうかがえる。

その後大宝3年(703年)に勅命によって社殿の修造がなされ、神功皇后・仲哀天皇・日本武命・応神天皇・玉姫命・武内宿禰命の六柱が合祀されたと伝える。以後は氣比神宮の境外摂社となった。

『気比宮社記』によれば、第50代桓武天皇の御代に神功皇后の神霊が示現して「つねに宮居し云々」の神託があった。

そこで、皇后を「天八百萬比咩大神」と讃えて祀ったといい、さらに承和11年(844年)に神功皇后を勧請したとの別伝が記されている。

国史では斉衡3年(856年)に「天八百万比咩神」が官社に列したという記載があり、同年に従四位下の神階に叙されている。

延長5年(927年)の『延喜式神名帳』で記載があり、その後、『越前国内神名帳』では「従二位 天八百万比咩大明神」。なお、他の論社に越前市国兼町の大塩八幡宮の境内社がある。

社伝では、その後長和4年(1015年)に天台僧の円秀僧正によって再興されたという。以後記録によれば、享禄2年(1529年)に朝倉孝景・景紀によって修繕が加えられて東殿が造営された。

天正2年(1574年)の炎上を受けて文禄4年(1595年)に敦賀城主・大谷吉継によって仮宮が、更に慶長7年(1602年)に越前国主・結城秀康によって本宮(本殿)が造営された。

また、秀康は常宮浦(33石5斗)を社地として寄進した。

明治4年(1871年)には小浜藩から氣比神宮摂社に定められた。明治9年(1876年)に県社に列し、明治10年(1877年)に内務省から氣比神宮の摂社に定められたが、その後独立している。

本殿西方には屋根がつながった四社がある。いずれも式内社。

・天国津彦神社(磯良大神)は「天国津彦神社」の論社
・天国津姫神社(龍女神)は「天国津比咩神社(天国比咩神社)」の論社
・天鈴神社(住吉大神)は「天鈴神社」
・伊覩神社(白木彦神)は「玉佐々良彦神社」

式内社「天国津彦神社」「天国津比咩神社」の論社は他に、やはり大塩八幡宮のそれぞれの境内社がある。

その他の境内社としては、竹生島神社(市杵島姫神)、猿田彦神社(猿田彦神)、神明神社(天照皇太神豊受大神)、稲荷神社(豊玉稲荷大神)、恵比須神社(素盞嗚尊、恵比須大神)がある。

例祭は7月22日。「総参祭」(そうさんさい/そうのうまいり)と称される。氣比神宮の神々が宮司以下神職とともに常宮神社に参詣を行う祭。

氣比神宮の神霊が船形の神輿に遷され、御座船「神宮丸」に乗って御幸浜から出港、船中で祭典を行なったのち常宮に至る。

この日は禁漁となり、御座船に奉仕すれば豊漁に恵まれるとして漁業者は小船で曳行する。

総高112.0センチ、口径66.7センチの大型梵鐘「朝鮮鐘」が国宝に指定されている。

社伝では、文禄の役で朝鮮から持ち帰ったものであるといい、慶長2年(1597年)、豊臣秀吉が神功皇后の三韓征伐にちなみ、大谷吉継を使者として当社に奉納したという。

韓国人による返還の訴えが増加、現在は一般公開が中止されている。

【ご利益】
養蚕の守り神、安産の神、航海や漁業の守護神
常宮神社 - 氣比神宮の奥宮、境内に四社の式内社を抱える養蚕・安産・航海や漁業の守護神
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常宮神社の御朱印