宇陀水分三社の一社で女神を奉斎、重文の神輿が1年に1度渡御する
惣社水分神社(上社)(奈良県宇陀郡菟田野町上芳野)
[住所]奈良県宇陀市菟田野町上芳野
[電話]0745-84-2521 - 菟田野町役場企画観光課
惣社水分神社(上社)の位置
惣社水分神社(そうしゃみくまりじんじゃ)は、奈良県宇陀市菟田野町上芳野にある神社。御朱印の有無は不明。

『延喜式神名帳』にある「宇太水分神社(大和国・宇陀郡)」に比定される式内社(大社、月次新嘗)の論社。

巻3「臨時祭」祈雨神祭条に「宇陀水分社一座」とあり、祈雨神祭85座に含まれる。近代社格では村社。

芳野川に沿い、宇陀地域には他に二つの水分神社(宇陀水分三社)があり、宇陀市菟田野古市場の宇太水分神社を「中社」、宇陀市榛原区下井足の宇太水分神社を「下社」、当社を「上社」とも称する。

当社を含めた三社が式内「宇太水分神社」の論社。

式内「宇太水分神社」は大和国の東西南北に祀られた四水分神社(大和国四所水分社)の一つとされていたが、現在、宇陀の大和国四所水分社は古市場の中社とされるのが有力。

大和国四所水分社の他の三つは都祁水分神社葛木水分神社吉野水分神社

御祭神は、速開津比売命天水分神国水分神品陀別命

創祀年代は不詳。惣社宇太水分神社とも中山水分神社とも称される。古市場の宇太水分神社の摂社ともされているが、当社社記によると、当社を本として芳野川中流の古市場、下流の下井足へ遷したとも考えられるという。

また、一説には、古市場には天水分神、下井足には国水分神、当社には若水分神を祀ったとも言われ、下井足の下社にも伝わるように、古市場には男神、下井足には女神、当社には童神を祀ったともされる。

どちらにしろ、一郷(現在の榛原町、大宇陀町、菟田野町)の惣社として崇敬された。

当社の宝物である鳳輦神輿(ほうれんみこし)は、国の重要文化財に指定されており、約600年前の南北朝の頃に建造された。ふっくらした照起りの宝形造りの屋根の上に鳳凰の飾りがついた木造漆塗の荘厳なもの。

10月第3日曜の秋祭りには、「御渡り」と呼ばれる神事が行われ、その際、鳳輦神輿で、当社の女神(速開津比売命/速秋津姫命)が、夫である速秋津彦命に1年に1度会うため、速秋津彦命を祀る古市場の中社までお渡りする。

各大字から集まった太鼓台を先頭に、乗馬の宮司、氏子代表などが裃姿に正装して練り歩く、時代絵巻のような優雅なお祭りで、菟田野みくまり祭として知られる。

【ご利益】
水の守り神、縁結び、良縁、家内安全
惣社水分神社(上社) - 宇陀水分三社の一社で女神を奉斎、重文の神輿が1年に1度渡御する
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