阿蘇の農耕祭事(あそののうこうさいじ)
種別1:風俗慣習
種別2:生産・生業
公開日:毎年旧暦1月13日-9月25日(阿蘇神社)、旧暦1月16日-9月23、24日(国造神社)
指定日:1982.01.14(昭和57.01.14)
都道府県:熊本県
所在地:阿蘇市の阿蘇神社と国造神社

阿蘇の農耕祭事は、九州阿蘇谷、熊本県阿蘇市の旧一の宮町に鎮座する阿蘇神社および国造神社を中心として、神職、社家、町の人びとによって行われる農耕祭事である。

例えば、阿蘇神社では次のような諸行事が行われる(国造神社でも同様の農耕祭事が行われている)。

まず年のはじめに、御田植神幸式に関わる駕輿丁が田歌を歌い初め、その年の豊作を祈願する。

卯の祭では、五穀豊穣を祈願して阿蘇古代神楽を奏する。

田作祭では、年祢大神(農業神)を社家に迎えての宅祭があり、申の日に年祢大神のヒメゴゼを迎える神婚の儀がある。

また、火振行事といわれる、人びとが松明を振ってヒメゴゼを迎える行事も行われ、豊作を祈願する。

田作行事は、田遊の一種で、田打、牛使、鳥追、田植等が演じられ、豊作が祈願される。

風鎮祭は、農業に悪をなす風が吹かぬように、またそれを鎮めるための祭りである。

御田植神幸式は、おんだ祭りともいい、神が田を見まわれ、豊作にされる祭で、4基の神輿が一の行宮(一の御田)、二の行宮(二の御田)に神幸し、祭事の後、還幸する。この際、田歌が歌われ、神輿に早苗が投げ上げられる。

柄漏流行事は、御田植神幸式に奉仕した駕輿丁たちが田歌を歌う。これが田歌の歌い納めで翌年までは一切歌われない。

火焚行事は、12-13才の火焚乙女が神座の下で2ヶ月間昼夜間断なく火を焚き、霜害を払うものである。

田実行事は、阿蘇神社での祭典の後、駕輿丁による相撲、社家中による流鏑馬を行うもので、収穫感謝の祭りである。

この行事は、よく古式を伝承しているとともに、四季を通じて一連のまとまりをもって執行されている。

このように四季を通じて収獲祈願から豊作感謝、風害、霜害の防除まで一貫した祭事が行われる地域は現在殆んどみられず、我が国の農耕生活の推移、庶民信仰の姿を知りうる最も典型的な事例として重要である。

保護団体名:阿蘇の農耕祭事保存会
重要無形民俗文化財「阿蘇の農耕祭事」 - 四季を通じて収獲祈願から豊作感謝までの祭事
【関連記事】
阿蘇神社 - 初代神武天皇の孫とそのファミリーによる構成、当地一大勢力・阿蘇氏
国造神社 - 阿蘇のパワースポット、熊本最古、ナマズ殿下も行啓、手野のスギや白蛇の桧
熊本県の重要無形民俗文化財 - 都道府県別に整理