二見興玉神社→外宮→内宮と猿田彦神社の御朱印、参拝順路、アクセス、所要時間
伊勢の神宮(伊勢神宮)を参拝することを、特に伊勢参宮といいます。参宮とだけでも、本来はお伊勢参りを指す言葉。日本最高峰の聖地であるため、多くの方の興味を引く一方で、だからこそ多くの煩雑なしきたり、決まり事がありそう、とも思われがち。また現実的に、どのように行くのか、そのアクセスや最寄りなども重要事項。

ここでは、二見興玉神社→外宮→内宮と猿田彦神社という伝統的な参拝順路に基づきながら、それらの参拝時間、参拝所要時間、御朱印の状況、アクセス、最寄りなどをまとめてみました。

よく知られている決まり事などについても言及していますが、あまり細かいことを気にしすぎるあまり、現実生活を犠牲にするなどは神様も求めていないはず。最大限の敬意を払いつつ、あくまでもご自身の無理ない都合に合わせる形の参宮が最もよいと思います。

・伊勢の神宮そのものについては、「伊勢の神宮125社のリスト」へ
・伊勢の神宮でもらえる御朱印については、「御朱印がもらえる7社」へ
・伊勢の神宮125社をすべて参拝したい、「10のコースで巡る伊勢神宮」へ 

二見興玉神社

二見興玉神社 - 伊勢の神宮の参拝前に“禊のため”に訪れなければならない神社
■所 在 地:〒519-0602 三重県伊勢市二見町江575 Googleマップ 公式HP
■電  話:0596-43-2020
■最寄り駅:二見浦駅(ふたみのうらえき)…JR東海参宮線

[車の場合]伊勢鳥羽二見ライン二見JCT下車、約5分。神社そのものの駐車場は7台。しかし、堤防沿いの市営駐車場のほうが近い。隣接の二見プラザにも駐車場がある(平日無料、土日1000円)。

[電車の場合]二見浦駅下車、1.5キロほど。徒歩所要時間20分。他に近鉄鳥羽駅・JR鳥羽駅、近鉄宇治山田駅・伊勢市駅などより伊勢・二見・鳥羽周遊バス「CANばす」にて「夫婦岩東口」バス停下車、徒歩約5分。

[参拝時間]24時間。しかし、社務所などはやはり現実的には9:00-16:00ぐらいを考えましょう。

参拝所要時間は最低20分、ゆっくりで正味1時間ほど。

公式サイトは改装中なのか、2015年7月末時点で簡素な記述にとどまっている。

[御朱印]あり。詳しくは社務所まで(0596-43-2020)

[ポイント]古来、伊勢神宮に参拝する前、また、祭典に奉仕する前には、清き渚と称される二見浦で禊(沐浴)を行うのが慣わしでした。これを浜参宮と言います。

現代では、当社で霊草無垢塩草での祓い清めを受けます。これに使う幣は、興玉神石付近で採れる海草(アマモ)です。

二見浦はヤマトヒメの伝承が残る土地ですが、なぜ伊勢参宮の前の禊がこの浜で行われなければならないのか、は謎。

夫婦岩が有名ですが、夫婦岩はいわば鳥居。核心はその先にある、浜参宮でも使用される海草を採る興玉神石。これは、サルタヒコそのもの、だと思われます。あるいはサルタヒコの墓石。『古事記』にもサルタヒコ溺死の状況が活写されています。

『倭姫命世記』によれば、内宮はサルタヒコの末裔・大田命が発見し、管理してきた土地を譲り受けて創建されているため、やはり伊勢神宮とサルタヒコは深い関係にあります。

ちなみに、サルタヒコは内宮に興玉神として祀られ、内宮の所管社として、伊勢の神宮125社の一社となっています。

[二見興玉神社に行く時間がない! という方]外宮と内宮の参拝でスケジュール的に一杯いっぱい、という方もいらっしゃると思います。

古来から続く作法であることはもちろん、二見浦の美しさや、夫婦岩の神秘さに触れるためにも、伊勢参宮にはぜひ訪れたい神社の一社ではありますが、やむえを得ない場合は、外宮に直接参拝しても構わないと思います。

その場合でも、外宮への道中で、二見興玉神社を念頭に置き、『倭姫命世記』の記述やヤマトヒメ、そしてサルタヒコについて思いを馳せていただければ。

豊受大神宮(外宮)


■所 在 地:〒516-0042 三重県伊勢市豊川町279 Googleマップ 公式HP
■電  話:0596-24-1111(神宮司庁)
■最寄り駅:伊勢市駅(いせしえき)…JR東海・近鉄

[車の場合]二見興玉神社→豊受大神宮は9キロほど、所要時間はおよそ25分です。駐車場のご案内はこちらから。

[電車の場合]伊勢市駅から0.8キロほど、所要時間10分。二見興玉神社→豊受大神宮はJR東海参宮線上りで二見浦駅から伊勢市駅まで2駅目。

乗車時間は6分ほどだが、二見興玉神社→二見浦駅の徒歩と、伊勢市駅→豊受大神宮の徒歩を考えるのであれば、所要45分以上は検討が必要。しかも、参宮線は1時間に1-2本であることに注意。

二見興玉神社→豊受大神宮は参宮バスで二見浦表参道あるいは夫婦岩東口から外宮前がある。

伊勢・二見・鳥羽周遊バス「CANばす」でも夫婦岩東口・二見シーパラダイス前から外宮前まで出ている場合もあるが、先に内宮前についてしまうことや、内宮前止まりのものも多い。

[参拝時間]季節によって変動しますが、5:00-17:00と考えれば間違いありません。現実的には9:00-16:00ぐらいを目安にしましょう。

域内の参拝所要時間は最低30分、ゆっくりで1時間から1時間30分ほどを考えられればベスト。

[御朱印]正宮はあり。域外も至近の月夜見宮はあり。その他周辺125社の社にはない。

[ポイント]いわゆる外宮先祭は『倭姫命世記』に明記されているもので、内宮のアマテラス自身の言葉として、自身よりも先に外宮のトヨウケビメノカミを祀ること、とあります。ほとんどの祭事が今でも外宮から先に行われます。

いくらアマテラスの食事を司る外宮、とはいえ、先にお祀りするというのを普通に考えれば、外宮は内宮よりも高位ということになります。『倭姫命世記』や、それが記された中世の事情が、現在まで影響し続けているということでしょう。

外宮先祭と、一般参拝者が外宮を先にお参りしなければならない、という決まりは一見関連していそうで、実はあまり関連していません。いずれの時代に、外宮先祭のしきたりとともに生まれた風習が外宮先拝なのでしょうか。

今では伊勢神宮の最高の聖域は内宮という認識が幅広くありますが、なぜ外宮先祭・外宮先拝なのかを考えると、伊勢の深層の一端に触れることができるかもしれません。

[できれば]外宮域内にある各社にお参りしよう!

多賀宮(外宮別宮)
土宮(外宮別宮)
風宮(外宮別宮)
度会国御神社(外宮摂社)
度会大国玉比賣神社(外宮摂社)
山末神社(外宮摂社)
伊我理神社(外宮末社)
井中神社(外宮末社)
大津神社(外宮末社)
御酒殿神(外宮所管社)
四至神(外宮所管社)
上御井神社(外宮所管社)
下御井神社(外宮所管社)

それぞれいわれもあるので、上記をクリックしてご確認ください。

[さらに、できれば]外宮域とは少し離れていますが、それでも至近といえる距離に、神宮125社のうちいくつかの社が鎮座しています。

月夜見宮以外、ほとんど無人で、御朱印などはありませんが、六社、実質三社(同座や同一境内など)、「外宮めぐり」などとも呼ばれるこれらの神社にも、時間が許す限り参拝したいものです。

月夜見宮(外宮別宮)
高河原神社(外宮摂社)、月夜見宮の境内
田上大水神社(外宮摂社)
田上大水御前神社(外宮摂社)、田上大水神社の境内
宇須乃野神社(外宮摂社)
縣神社(外宮末社)、宇須乃野神社に同座

皇大神宮(内宮)


■所 在 地:〒516-0023 三重県伊勢市宇治館町1 Googleマップ 公式HP
■電  話:0596-24-1111(神宮司庁)
■最寄り駅:伊勢市駅(いせしえき)…JR東海・近鉄

[車の場合]豊受大神宮→皇大神宮は4-5キロ、所要時間はおおよそ15-20分です。駐車場のご案内はこちらから。

[電車の場合]伊勢市駅から「内宮」行きのバスに乗車、乗車時間は約15分。他に、近鉄宇治山田駅からバスで、20分。近鉄五十鈴川駅が距離的には一番近いか。伊勢・二見・鳥羽周遊バス「CANばす」で近鉄五十鈴川駅から内宮前までは10分以内。

豊受大神宮→皇大神宮は、「CANばす」で外宮前から内宮前まで、乗車時間20分程度。

徒歩で豊受大神宮→皇大神宮は、1時間ほど。

[参拝時間]季節によって変動しますが、5:00-17:00と考えれば間違いありません。現実的には9:00-16:00ぐらいを目安にしましょう。

域内の参拝所要時間は最低40分、ゆっくりで1時間30分ほどを考えられればベスト。

[御朱印]正宮はあり。その他の域内、至近の域外にはない。

[ポイント]『倭姫命世記』に克明に記されているように、トヨスキイリビメとヤマトヒメ、特にほとんどの行程はヤマトヒメですが、二人の皇女による巡行の終着場所。現在では、日本最高の聖地の一つ。

豊受大神宮→皇大神宮へ車や徒歩で行く場合、途中に猿田彦神社があります。ここは、現在の内宮域を発見し、管理し、ヤマトヒメに献上した大田命とその祖・サルタヒコを祀る神社です。

一説には、地主神(ヤマトヒメ以前の当地の神)として、内宮参拝前にこの猿田彦神社を参拝すべき、という意見もあります。

しかし、であれば、やはりよく言われるように、『倭姫命世記』にある、いわゆる「元伊勢」含む、ヤマトヒメ巡幸の後を辿って参拝するのが正式、ということにもなり、そうなると現実的には極めて難しくなります。

猿田彦神社が先か、内宮が先かは、その時の事情に合わせてでよろしいかと思います。猿田彦神社に付いては後述します。

[正宮をお参りする前に]内宮域にある内宮の所管社である滝祭神(たきまつりのかみ)を参拝するのが正式な作法とされます。

所管社とは、神宮125社のうち、正宮、別宮、摂社、末社と並ぶ、社の社格。所管社の中でも滝祭神だけが明確に、「別宮の次、摂社の上」とされています。

現在では内宮・アマテラスの「おとりつぎさん」として定着していますが、五十鈴川の地主神であり、当地の根源神と考えられます。

その意味では、先の猿田彦神社と同じとも考えられますが、内宮域における慣例なので、ここは正宮を参拝する前に滝祭神を参拝したいところです。

[正宮への参拝]内宮の正宮を参拝しましょう!

その後一呼吸おいて、正宮御垣内に鎮座している所管社、興玉神宮比神屋乃波比伎神にもそれぞれ参拝しましょう。

正宮の守護神ですが、興玉神=サルタヒコ、宮比神=アメノウズメ、屋乃波比伎神=ハヒキノカミというのが興味深い。

ハヒキノカミは有名な神ではありませんが、スサノヲの子であるオオトシノカミの子とされます。内宮・アマテラスの弟の孫とは言えますが、あまりに遠い。

また、アメノウズメはサルタヒコの妻で、内宮・アマテラスの側近だったこともありますが、おそらくはその後零落した可能性があります。

つまりいずれも敗者側。敗者側に勝者側の最高位の神を守護させる、という、何とも日本独自の信仰が表現されています。

[できれば]滝祭神、正宮、正宮御垣内鎮座の所管社への参拝の後は、内宮域内にある各社にお参りしよう!

荒祭宮(内宮別宮)
風日祈宮(内宮別宮)
御酒殿神(内宮所管社)
御稲御倉(内宮所管社)
由貴御倉(内宮所管社)
四至神(内宮所管社)
饗土橋姫神社(内宮所管社)
大山祇神社(内宮所管社)
子安神社(内宮所管社)

[さらに、できれば]内宮域とは少し離れていますが、それでも至近といえる距離に、神宮125社のうちいくつかの社が鎮座しています。

ほとんど無人で、御朱印などはありませんが、七社、実質五社(同座二社含む)、「内宮めぐり」などとも呼ばれるこれらの神社にも、時間が許す限り参拝したいものです。

津長神社(内宮摂社)
新川神社(内宮末社)、津長神社に同座
石井神社(内宮末社)
大水神社(内宮摂社)
川相神社(内宮末社)、大水神社に同座
熊淵神社(内宮末社)

[内宮しか参拝できない! という方]せっかくの伊勢参宮ですので、少なくとも外宮→内宮の参拝は行いたいものですが、それでも難しいという方は、内宮のみ、という場合もあり得るかもしれません。

それでも、内宮域内の滝祭神→正宮→正宮御垣内鎮座の所管社→域内の別宮・所管社は参拝したいものです。

「いや、内宮の正宮だけ参拝したいです」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ここは最低でも、内宮域内を順次参拝する時間は確保し、それができないのであればまたの機会の参宮にした方が、よいかもしれません。

猿田彦神社

猿田彦神社 - サルタヒコ直系の子孫“宇治土公”が神宮に代々奉職した古社
■所 在 地:〒516-0026 三重県伊勢市宇治浦田2−1−10 Googleマップ 公式HP
■電  話:0596-22-2554
■最寄り駅:JR東海・伊勢市駅、近鉄宇治山田駅、近鉄五十鈴川駅 タクシーで10分ほど

[車の場合]豊受大神宮から皇大神宮に向かう途中、4-5キロ、所要時間はおおよそ15-20分の間に鎮座している。3キロ、5-6分で到着する。駐車場のご案内はこちらから。

[徒歩・バスの場合]豊受大神宮(外宮)から3キロであるため、40-50分程度か。外宮前から三重交通バスに乗車して猿田彦神社前下車。

皇大神宮(内宮)から1.8キロ、宇治橋から1キロ程度。15-20分が目安。内宮前から三重交通バスに乗車して猿田彦神社前下車。

[参拝時間]24時間。現実的には9:00-16:00ぐらいを目安にしましょう。

参拝所要時間は最低20分、ゆっくりで正味1時間ほど。

[御朱印]あり。詳しくは社務所まで(0596-22-2554)

[ポイント]上述の通り。公式サイトに各種情報が記載されているので、参拝時にはしっかりと確認すると良いでしょう。

伊勢参宮の順路について

一般的に、外宮と内宮はそれぞれ、三つほどの意味があります。

・それぞれの正宮そのもの、最も狭義なもの
・それぞれの宮域も含めたもので、その中にも神宮125社の何社かが点在している域内
・それぞれが管轄する別宮、摂末社、所管社を総称したもの

第三の用法はあまり使われないとして、第一と第二は混同されるので、注意が必要です。

二見興玉神社(浜参宮)→外宮→内宮が伝統的な参宮のコースとはなりますが、より厳密に言えば、二見興玉神社(浜参宮)→外宮・正宮→内宮域内の所管社・滝祭神→内宮・正宮→…という順になるのかもしれません。

その後は内宮や外宮の別宮、摂社、末社、所管社にはそれぞれ序列が明確にされているので、その順番通りに参拝するのが正式なのかもしれません。

しかし、一般人にとって、それはなかなか難しいため、今回は、二見興玉神社(浜参宮)→外宮の正宮と域内→内宮の正宮と域内、そして近隣の猿田彦神社の参拝コースを紹介しております。


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