古墳保全と道路の両立を願います 高尾山古墳を壊さないでください 高尾山古墳 TAKAOSANKOFUN
静岡県の沼津市が高尾山古墳(辻畑古墳、同市東熊堂(くまんどう)、前方後方墳、古墳時代前期の3世紀半ば=卑弥呼と同時代)を道路建設のために取り壊す問題で、現状保存を求める市民グループ「市民の会」など四団体は2015年7月11日、沼津市内で古墳の価値について学ぶ講演会を開きました。中日新聞が報じています

沼津を中心に千葉や大阪などからも220人が訪れたと言います。講演会では、日本考古学協会理事の篠原和大・静岡大教授が、「初期国家形成を知る上で、非常に重要。(高さ四メートルの)墳丘を削り取れば価値を失う」などと語ったと言います。

築造230年、埋葬250年。『魏志』倭人伝に記述のある、邪馬台国、卑弥呼の時代と重なる3世紀という極めて古い時代の貴重な遺構。畿内から遠く離れたこの地になぜ60メートルを超える墳丘が築かれたのか、解明できれば、間違いなく日本の古代史を塗り替える発見になります。

卑弥呼そのものではないにしろ、やはり『魏志』倭人伝に見える、卑弥呼と敵対した卑弥弓呼(ひみここ)という狗奴国の男王の墓ではないか、との指摘もあります。卑弥呼の倭国を畿内とみる場合、敵対国の狗奴国を東海地方に比定する考えは皆無ではありません。

次世代に受け継ぎたい、古代日本の謎。その解明のカギを握る貴重な古墳なので、何とか保存も検討されんことを。

保存を求める団体も増えてきましたし、主要メディアでも報道が始まっており、また、「古墳保全と道路の両立を願います 高尾山古墳を壊さないでください」というFacebookやTwitterなどでも発信している「高尾山古墳 TAKAOSANKOFUN」というサイト(本記事の画像は同サイトのトップページ)もでき始めています。

保存に向けた機運は確実に育まれてきています。

【関連記事】
破壊危機の高尾山古墳、沼津市長「ただちに(破壊)予算を執行せず」 保存に向けて再検討
沼津市の高尾山古墳、保存求める三団体が陳情書を提出、市長の定例会見もトーンに変化?
日本の成り立ちの鍵握る貴重な遺跡・高尾山古墳を守る団体が三つ発足、ネット署名も - 沼津
道路建設で破壊危機の高尾山古墳、保護求め市民が立ち上がる 市の損得勘定との戦い
卑弥呼の墓より先行する、最初期の高尾山古墳の破壊方針、ニュースまとめ - 静岡・沼津