「舟木遺跡」Google画像検索結果
兵庫県の淡路市教委は2015年7月9日、淡路島北部の丘陵地帯にある遺跡群の中で最大の「舟木遺跡」について、来年度に本格的な発掘調査をすると発表しました。画像は「舟木遺跡」画像検索結果(出典:Google)。

朝日新聞舟木遺跡を発掘調査 淡路市教委
南西に約6キロ離れた国内最大規模の鉄器工房跡が残る五斗長垣内遺跡(同市黒谷)などとの関連も調べ、当時の島の実像を探る。

産経新聞淡路島と「国生み神話」との関係は? 「舟木遺跡」を徹底解明
「淡路市国生み研究プロジェクト」とし、弥生期の淡路島の歴史的な役割を解明し、国生み神話との関係を掘り下げる取り組み。

同じ話題を報じているのに、だいぶニュアンスが違います。

朝日新聞では一切、神話には触れていません。淡路島では、「国産み神話」を中心としたストーリー日本遺産を目指している、というのに。そうした大きな枠組みの中で今回の件もとらえられるべきはずです。

『古事記』にも描かれているように、なぜ“最初”が淡路島なのか。

諸説ありますが、かなりスルーされやすい問題でもあります。日本の古代史上、極めて大きな謎の一つです。考古学は間違いなくその解明へのツールの一つ。

政治・外交のみならず、古代史の報道でも、主義主張が顕著に表れ、それはそれでよいですが、大局が見えない、掴めない、したがって事実誤認につながり、誤った認識が植えつけられる、そんな繰り返しにならないことを祈るばかりです。

とは言っても、朝日新聞の報道も、事実関係だけならばよくまとまっています。要は鵜呑みにしなければ害はない。今回の発表の詳細は、両方の報道を読めばだいたい把握できるかと。舟木遺跡の中央に鎮座する石上神社の謎の解明にもつながれば。

プロジェクトのキックオフシンポジウムとして、8月23日に北淡震災記念公園で「青銅器から鉄器へ~邪馬台国出現前夜の淡路島を探る~」を開催すると言います。入場無料。問い合わせは同市社会教育課まで。電話:0799-64-2520。

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