高尾山古墳(辻畑古墳)の現地説明会の様子
沼津市が東日本最古級とされる高尾山古墳(辻畑古墳、同市東熊堂(くまんどう)、前方後方墳、古墳時代前期の3世紀半ば=卑弥呼と同時代)を道路建設のために取り壊す方針を決めた問題で、市議会は2015年6月30日、発掘調査費5000万円を盛った一般会計補正予算案を賛成多数で可決しました。

市は記録保存の「全面発掘」を名目に、古墳を削り取る作業に着手できることになりましたが、栗原裕康市長は閉会後に「ただちに予算を執行しない」と発掘調査を一時保留。行政と学識経験者らによる協議会を新たに設置し、古墳保存と道路建設の在り方を再び検討すると述べたと言います。中日新聞が報じています。画像は過去に行われた高尾山古墳(辻畑古墳)の現地説明会の様子(出典:静岡県沼津市駿河台自治会)。

破壊予算がついに正式に承認されたわけですが、ここにきて、予算執行責任者たる市長が慎重姿勢を見せ始めたのは、道路建設推進派にとっては寝耳に水のところがあるかもしれません。

一連の報道を見ていくと、もともと市長は当初、全く聞く耳を持たず、「破壊は当然」というスタンスでこの問題に登場しました。その後、市民の間からの運動などが功を奏したか、態度が急転し始め、今回の判断になったわけです。

報道にもある通り、議会で予算が承認された以上、いつ執行されても、つまり破壊されてもおかしくない状況であることには変わりません。できれば、市長には、議会で承認される前に、今回の判断を下してほしかったのですが。

市役所(=基本的に道路建設推進派)も、すでに何度も保存との両立を考えてきた上での結論と、突っぱねている状態なので、協議会を設置しても態度が軟化するとは思えませんが、破壊までの猶予が伸びたことには違いありません。

それまでに、保存に向け、できることを着々と進められんことを! 史跡指定に向けた研究準備などもよいのかもしれません。

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