大土地神楽(おおどちかぐら)
種別1:民俗芸能
種別2:神楽
公開日:随時・不定期
指定日:2005.02.21(平成17.02.21)
都道府県:島根県
所在地:出雲市大社町

「茣蓙舞」(ござまい)や「八乙女」(やおとめ)などの儀式的な舞と「猿田彦」(さるたひこ)や「八戸」(やと)など演劇的な舞を、江戸時代中期から地域の人びとが演じてきたもので、宗教者による神楽では成人が演じる役を、ここでは子どもたちが担当し、その共演者の成人が子どもを導くように演じるなどの特色がある。

大社町(たいしゃまち)は島根半島の最西端に位置し日本海に面している。同町の杵築地区(きつきちく)は出雲大社を中心にした地域で、出雲大社の門前町また日本海水運による物資集散地として発展してきた。

大土地神楽は、杵築地区の旧大土地村と旧中村の人びとによって伝承され、地元の大土地荒神社境内にマイザ(舞座)と呼ばれる舞台を仮設し、同社の祭礼日に演じられている。

神楽は、まず「入申し」と呼ばれる大太鼓、締太鼓、笛の楽器演奏から始まる。舞座後方の囃子場に楽器演奏者が並び、舞い手はその前に並んで演奏中は頭を下げている。

次に七座と総称される儀式的な舞が数演目演じられる。七座は「塩清目」「悪切」「神降ろし」「茣蓙舞」「八乙女」「手草」「幣の舞」である。

儀式的な舞の後に演劇的な舞が始まる。日本神話を題材にした「八千矛」「山の神」「猿田彦」「日本武」「八戸」「岩戸」などや、能あるいは民間説話や信仰に基づく「田村」「五行」「大恵比須」「小恵比須」など。

島根県内各地の神楽は、中世後期に当時の修験者などが中心になって工夫し始まったとされる。その後、中世末期から近世初期にかけて、同県鹿島町の佐太神社で、当時の能を取り入れた神楽が始まった。「佐陀神能」である。

本来、この地方の神楽は宗教者によるものであったが、江戸時代中期になると出雲大社近辺の各地では、地域の一般の人びとによる神楽が始まった。

これらは素人神楽と呼ばれ、ときには宗教者による神楽を圧迫するほど盛んに行われたため、宗教者側の求めに応じて禁止が命ぜられたが、大土地神楽は、その時すでに長い歴史をもっていたために、特別に継続が許可されたとされる。

保護団体名:大土地神楽保存会神楽方
重要無形民俗文化財「大土地神楽」 - 出雲大社近辺の、神職者ではない人々の神楽
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