五十猛のグロ(いそだけのぐろ)
種別1:風俗慣習
種別2:年中行事
公開日:毎年1月11日-15日
指定日:2005.02.21(平成17.02.21)
都道府県:島根県
所在地:大田市
島根県大田市五十猛町大浦地区に伝承される小正月の行事。グロと呼ばれる円錐形の大きな仮屋を浜辺に作って歳徳神を迎え、その年の豊漁や無病息災を祈願し、最後に正月飾りとともに仮屋を焼き払う行事で、1月11日から15日までの5日間にわたって行われる。
グロとは、行事の名称であるとともに、行事の際に竹を主な材料として作られる独特の小屋をさす呼称でもある。その語源は定かではないが、当地では、グロとは草むらや山中に建つ簡素な小屋のこと、あるいは草が密集している様子を言い表す語として用いられ、こうした関連から仮屋をグロと称するようになったといわれる。
行事の準備や運営は、大浦地区の家々を第一組と第二組とに分け、この二つの組が1年交替の当番制で行っている。第一組は、上一、上二、上三、竪町、本町の五つの自治会から、第二組は、柳町、上柳町、明神、朝日、日の出、団地の六つの自治会からなる。
当番に当たった組は、その年に5人の世話人を選出する。世話人は、グロの材料集めや組み立てなどの準備作業をはじめ、供物の用意や儀礼に際しての献饌など、数日間にわたる行事の中心的な役割を担う。
昭和初期頃までは、大浦地区内でも二つ以上の組があり、それぞれに競い合って大きな仮屋を作り、グロを行っていたと伝えられている。少なくとも戦後しばらくの間は3か所でグロが行われていたとされるが、昭和30年代に現在の下の浜のみとなり、それ以後、地区全体で一つのグロを作り、共用するかたちで行事が続けられてきている。
年の始めに仮屋を設けて神を迎え、予祝儀礼や火焚きを行う行事は、日本の各地に地域的特色をもって伝承されており、日本人の神観念や年中行事を理解する上で早くから注目されてきた。
このような小正月の行事については、これまでに東北地方や関東地方など東日本の事例が指定されているが、本件は、従来この種の行事の指定のなかった西日本地域の中で、特色ある小正月の行事として注目されるものであり、センボクサンを心柱とする円錐形の独特の仮屋を作り、その中で地区の人たちが共同飲食をするなど地域的特色も豊かである。
また、グロと呼ばれる小正月の行事は、島根県中部の沿岸部に伝承されてきたが、現在では大浦地区で行われるのみとなっている。神を迎え・送る一連の儀礼や禁忌などの民俗的要素もよく伝えており、我が国の年中行事や民間信仰の変遷を考える上で重要である。
保護団体名:大浦グロ保存会

【関連記事】
・左義長・どんど焼きとは? - 小正月に正月飾りを焼き上げる行事、日本三大左義長・日本一
・島根県の重要無形民俗文化財 - 都道府県別に整理
種別1:風俗慣習
種別2:年中行事
公開日:毎年1月11日-15日
指定日:2005.02.21(平成17.02.21)
都道府県:島根県
所在地:大田市
島根県大田市五十猛町大浦地区に伝承される小正月の行事。グロと呼ばれる円錐形の大きな仮屋を浜辺に作って歳徳神を迎え、その年の豊漁や無病息災を祈願し、最後に正月飾りとともに仮屋を焼き払う行事で、1月11日から15日までの5日間にわたって行われる。
グロとは、行事の名称であるとともに、行事の際に竹を主な材料として作られる独特の小屋をさす呼称でもある。その語源は定かではないが、当地では、グロとは草むらや山中に建つ簡素な小屋のこと、あるいは草が密集している様子を言い表す語として用いられ、こうした関連から仮屋をグロと称するようになったといわれる。
行事の準備や運営は、大浦地区の家々を第一組と第二組とに分け、この二つの組が1年交替の当番制で行っている。第一組は、上一、上二、上三、竪町、本町の五つの自治会から、第二組は、柳町、上柳町、明神、朝日、日の出、団地の六つの自治会からなる。
当番に当たった組は、その年に5人の世話人を選出する。世話人は、グロの材料集めや組み立てなどの準備作業をはじめ、供物の用意や儀礼に際しての献饌など、数日間にわたる行事の中心的な役割を担う。
昭和初期頃までは、大浦地区内でも二つ以上の組があり、それぞれに競い合って大きな仮屋を作り、グロを行っていたと伝えられている。少なくとも戦後しばらくの間は3か所でグロが行われていたとされるが、昭和30年代に現在の下の浜のみとなり、それ以後、地区全体で一つのグロを作り、共用するかたちで行事が続けられてきている。
年の始めに仮屋を設けて神を迎え、予祝儀礼や火焚きを行う行事は、日本の各地に地域的特色をもって伝承されており、日本人の神観念や年中行事を理解する上で早くから注目されてきた。
このような小正月の行事については、これまでに東北地方や関東地方など東日本の事例が指定されているが、本件は、従来この種の行事の指定のなかった西日本地域の中で、特色ある小正月の行事として注目されるものであり、センボクサンを心柱とする円錐形の独特の仮屋を作り、その中で地区の人たちが共同飲食をするなど地域的特色も豊かである。
また、グロと呼ばれる小正月の行事は、島根県中部の沿岸部に伝承されてきたが、現在では大浦地区で行われるのみとなっている。神を迎え・送る一連の儀礼や禁忌などの民俗的要素もよく伝えており、我が国の年中行事や民間信仰の変遷を考える上で重要である。
保護団体名:大浦グロ保存会

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