那智の田楽(なちのでんがく)
種別1:民俗芸能
種別2:田楽
公開日:毎年7月13日、14日
指定日:1976.05.04(昭和51.05.04)
都道府県:和歌山県
所在地:熊野那智大社(東牟婁郡那智勝浦町)

那智の田楽(なちのでんがく)は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町に伝わる民俗芸能の田楽で、熊野三山の一つ、熊野那智大社例大祭、扇祭(那智の火祭)で奉納される。2012年12月にユネスコの無形文化遺産に登録された。

演者は笛1人、笛控1人、ササラ4人、太鼓4人、シテテン(鼓役)2人の計12人。演目は21曲と番外のあわせて22あり、合計40分を要する。

これらの演目には各地の田楽との共通点、すなわち同数の舞手が東西の組に分かれることや、ササラと太鼓が一緒に行う舞の様式などが見られるが、その一方でシテテンに独自の舞や所作がある。

鋸刃の曲の中の所作にかろうじて田植を連想させるものがあるが、田楽であると意識しなければ見過ごされる程度のものであり、全体に田植えの模倣的表現をほとんど欠いている。

起源は必ずしも明確ではない。起源を示すものとしてしばしば引用される『熊野年代記』応永10年(1403年)条の記述に従えば、京から来た2人の田楽法師に習った田楽舞を「六月ノ会式」(今日の扇祭)にて演じたのが草創だという。

しかし、全国にある熊野から神霊を勧請した神社に田楽が数多く伝承されていることから、室町時代の伝は再興を意味するものであって、実際の起源をもっと古い時代に遡らせる説などがある。

幾度かの断絶を経て再興・継承された。戦国時代には一時断絶し、慶長4年(1599年)に再興されたが、明治時代に再度断絶し、大正10年(1921年)に復興された。今日演じられるものはこの大正の復興時に確立されたものである。

なお、熊野那智大社例大祭、扇祭(那智の火祭)も、「那智の扇祭り」として重要無形民俗文化財に指定されている。

保護団体名:那智田楽保存会
重要無形民俗文化財「那智の田楽」 - 火祭で奉納される田楽、ユネスコ無形文化遺産
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