重要無形民俗文化財「河内祭の御舟行事」 - 河内大明神をお遷しする華麗な船行事
河内祭の御舟行事(こうちまつりのみふねぎょうじ)
種別1:風俗慣習
種別2:祭礼(信仰)
公開日:毎年7月24、25日
指定日:1999.12.21(平成11.12.21)
都道府県:和歌山県
所在地:東牟婁郡古座町(現 串本町)

我が国には、各地に神幸行事に際して、神霊の乗り物または風流の作り物として実物の船や模型の船、船型の山車などを曳きまわす行事が数多く見られる。これらの祭りにはきらびやかに飾った船の巡行と御船唄などの芸能を伴うものも多い。

熊野灘に注ぐ古座川で行われる河内祭の御船行事もその一つ。この行事は、和歌山県東牟婁郡古座町(現 串本町)の古座区・古田区と古座川町の高池下部区・宇津木区・月野瀬区の5地区が、河口近くの岩島をご神体とする河内大明神を祀るもの。

古座区は、江戸時代には紀州藩の鯨方役所が置かれるなど漁業を中心とする地域であり、他の4地区は林業や農業などを生業とする地域であった。

河内大明神は、一般に河内様と呼ばれ、御祭神は素戔鳴尊(スサノヲ)であると信じられている。

祭りは5地区のうちの特に古座区の行事を中心に行われる。

23日昼過ぎに勇進会の手により御舟へ化粧杉が取り付けられ、夕方にはショウロウの宮入と獅子の宮入が行われる。ショウロウは男児2人と女児1人で、背負われて宮入をする。

網代の船頭が選び、古くは7歳の子どもであったが、現在は小学2、3年生が務める。両親の健在な漁師の子どもが選ばれ、これを務めると身体が丈夫になるといわれた。

この日、区内に辻屋台を設置し、かつては一般家庭でも潮汲みと注連掛けを行った。

24日早朝には、御舟・当舟の飾り付けが行われる。御舟行事に使用される舟は、御舟・当舟・獅子伝馬・櫂伝馬があり、それぞれ祭り専用の舟がある。

このうち御舟・櫂伝馬は、古座区だけが持ち、獅子伝馬・当舟は古座区と高池下部が持っている。

古座区の御舟・櫂伝馬は各3艘ずつあり、区内を上・中・下の三つに分けてそれぞれ御舟の宿を設け、1艘ずつを受け持つ。当舟・獅子伝馬は、区全体でそれぞれ1艘である。

御舟の飾りは、舟の左右に3枚ずつ陣幕を張り、水押しに水引を付け、化粧杉を飾った箱形の木枠全体を水引幕で覆う。

艫には河内大明神と書かれた大幟と五色の吹き流しを斜めに立てる。舳先から鉾、幟、提灯、楯・纏・軍旗・長刀・弓矢等を飾り立て、艫に色紙で飾られたモチマエダケを立てる。

午後2時頃、古座区にある古座神社から河内大明神の神額が御舟に遷され、御舟が河内様に向かう。

御舟の順番は毎年順送りとなり、いったん海上に出て左に旋回してから川上に向かう。このとき、初めて御船唄が歌われる。途中、橋にさしかかると神額は舟から降ろされて陸路橋を越え、再び舟に遷される。神額の上を越させないためである。

3艘の御舟は河内様に到着次第、次々に島に登って参拝する。一方、古座区の河口付近では中学生の漕ぎ手によって櫂伝馬競争が行われる。

25日は本祭で、狩衣姿のショウロウと祭典委員長などを乗せた当舟を先頭に、獅子を乗せた獅子伝馬、櫂伝馬が続き、その後に一般参加者の舟が続いて河内様に向かう。

当舟が河内様に到着するとショウロウを除く全員が島に登り参拝をする。その後、川原に移りショウロウはショウロウ座に着座する。この座はかつては榊と竹で組み毎年造り替えるものであった。

保護団体名:古座川河内祭保存会、古座獅子舞保存会
重要無形民俗文化財「河内祭の御舟行事」 - 河内大明神をお遷しする華麗な船行事
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