第21代雄略天皇23年[己未]2月、倭比売命(倭姫命、やまとひめのみこと)は、宮人や物部八十氏などを集めた。
「神主部・物忌等諸、聞いてください。永い間、天照大御神(皇太神、大神)のお話を承ってきました。総括すればこうです。
『心の神はすなわち天地の元であり、身体はすなわち五行の化生。元を元にして、本を本にして、本心に任せよ。まずは神に祈りなさい。正直に。天を尊び地に仕え、神を崇して祖を敬い、宗廟を絶やすことなかれ。神祇を再拝して奉れば、日は全国土を巡り、六合を照すと雖ど、須く正直の頂を照すべし』
そのようにすれば天下泰平にして、四民安泰となります」
と述べると、自ら尾上山峯に退き、石隠れ坐した。
三重県伊勢市倭町の尾上御陵にヤマトヒメは今も眠っていると伝えられる。伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)の最も新しい別宮は、ヤマトヒメを祀る倭姫宮。現在も、ヤマトヒメ鎮魂の祈りが捧げられている。
アマテラスの神託の内容は、後世の様々な思想が垣間見えることから考えても、これも、後世の付会の可能性が高いか。前回、今回の部分は、明らかに後世の主観が入り、しかもそれらしく編集されている感が否めない。
しかし、『倭姫命世記』の整合性を保つ上でも、ヤマトヒメの最期は描かれねばならず、このような形になった。史実的に言えば、ヤマトヒメの死は景行期でなければ、辻褄は合わないが(それでも寿命100歳を超えるが)。
ともかく、史上最も波乱万丈の人生を歩んだ、後世の斎宮の祖の一人とされる皇女ヤマトヒメの物語もここに終焉する。
**********
以上、『倭姫命世記』の原文の流れに忠実に、しかし一部は再編集をしながら、超訳的な口語訳を行ってみた。様々な思惑はあったのかもしれないが、ヤマトヒメの人となりは比較的思う存分描かれているように思え、だからこそ、“伝説”として切り捨てるには惜しい面があるように、やはり強く感じる。
前へ:『倭姫命世記』(27)
目次:『倭姫命世記』目次
「神主部・物忌等諸、聞いてください。永い間、天照大御神(皇太神、大神)のお話を承ってきました。総括すればこうです。
『心の神はすなわち天地の元であり、身体はすなわち五行の化生。元を元にして、本を本にして、本心に任せよ。まずは神に祈りなさい。正直に。天を尊び地に仕え、神を崇して祖を敬い、宗廟を絶やすことなかれ。神祇を再拝して奉れば、日は全国土を巡り、六合を照すと雖ど、須く正直の頂を照すべし』
そのようにすれば天下泰平にして、四民安泰となります」
と述べると、自ら尾上山峯に退き、石隠れ坐した。
三重県伊勢市倭町の尾上御陵にヤマトヒメは今も眠っていると伝えられる。伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)の最も新しい別宮は、ヤマトヒメを祀る倭姫宮。現在も、ヤマトヒメ鎮魂の祈りが捧げられている。
アマテラスの神託の内容は、後世の様々な思想が垣間見えることから考えても、これも、後世の付会の可能性が高いか。前回、今回の部分は、明らかに後世の主観が入り、しかもそれらしく編集されている感が否めない。
しかし、『倭姫命世記』の整合性を保つ上でも、ヤマトヒメの最期は描かれねばならず、このような形になった。史実的に言えば、ヤマトヒメの死は景行期でなければ、辻褄は合わないが(それでも寿命100歳を超えるが)。
ともかく、史上最も波乱万丈の人生を歩んだ、後世の斎宮の祖の一人とされる皇女ヤマトヒメの物語もここに終焉する。
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以上、『倭姫命世記』の原文の流れに忠実に、しかし一部は再編集をしながら、超訳的な口語訳を行ってみた。様々な思惑はあったのかもしれないが、ヤマトヒメの人となりは比較的思う存分描かれているように思え、だからこそ、“伝説”として切り捨てるには惜しい面があるように、やはり強く感じる。
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