明治期に多数の式内社を合祀、『倭姫命世記』の「兵名胡神社」もか?
畠田神社
[住所]三重県多気郡明和町中村1029
[電話]0596-55-3986

畠田神社(はたけだじんじゃ)は、三重県多気郡明和町にある神社。

『延喜式神名帳』にある「畠田神社(伊勢国・多気郡)」に比定される式内社(小社)。

明治期に極めて多くの近辺の式内社を合祀している。主な合祀神社の中で、多気郡の式内社は以下の通り。

・伊呂上神社
・国乃御神社
・佐支栗栖神社二座
・宇留布都神社
・守山神社
・石田神社
・櫃倉神社

以上がすべてではなく、他に境内案内板には白浜真名胡神社他三社を合祀したとある。これが『倭姫命世記』にある「兵名胡神社」の可能性がある。

また、やはり同書にある八握穂社に比定される神社も合祀したとされる。八握穂社については、竹佐々夫江神社への合祀が有力だが、当社にも「鶴の穂落とし」伝承が残っている。

『延喜式神名帳』に「三座」とあるため、旧来より一社で継承されてきたとも、中世三社に分祀していたとも言われている。中世には北藤原、南藤原、中村に各一社あったようだ。

明治41年(1908年)3月27日、南藤原・中村鎮座の畠田神社二社は北藤原鎮座の畠田神社に合祀の上、「畠田神社」と単称された。さらに同年8月13日に現在地に移転。

南藤原の旧社地は、児童公園となっており、東方の一郭には倉庫が建てられている。

北藤原の旧社地は、水田に取り囲まれた位置にあり、往時のまま石段、石垣が残されており、昭和5年(1930年)春に「式内畠田神社宮蹟」の石標が建てられた。

当社の御祭神は以上のように合祀を進めてきたために、非常に多くなっている。

火之迦具土命埴安比売命豊宇気比売命饒速日命天忍穂耳命天津彦根命熊野久須毘命市杵島姫命菅原道真大山祇命蛭子命品陀和気命建速須佐之男命・火産霊命・宇麻志摩治命天穂日命活津彦根命多紀理姫命多岐都姫命大日霊命伊豆乃売命・入船姫命・宇迦魂命彌津波能女命土之御祖命・戦没者英霊。

6月に茅の輪神事、9月の毎年収穫時期には、当社拝殿に篤志農家から新穀の稲束(カケチカラ)が奉納されている。

また9月25日には、カケチカラ発祥地(多気郡明和町根倉笹笛地区)にて新穀を奉納し、奉告祭を斎行する。

合祀した式内社の中で、「伊呂上神社」「国乃御神社」「佐支栗栖神社二座」は他の論社もなく、当社に合祀されていると考えられる。

ただし、「国乃御神社」については、松阪市柿木原町の二十五柱神社で、合祀したとしている。

式内社「宇留布都神社」の論社は他に、松阪市腹太町の宇留布津神社がある。式内社「石田神社」の論社は他に、松阪市高木町の神垣神社がある。

式内社「守山神社」の論社は他に、多気町の佐那神社に合祀された神坂村八柱神社がある。式内社「櫃倉神社」の論社は他に、多気町の津田神社に合祀されたものがある。

【ご利益】
食、火、金属、穀物の生長など。
畠田神社 - 明治期に多数の式内社を合祀、『倭姫命世記』の「兵名胡神社」もか?
【関連記事】
『倭姫命世記』(10) - ヤマトヒメ「飯野高宮」から櫛田川近辺、明和町あたりへ
三重県の神社 - 本サイトに掲載されている神社で、三重県に鎮座している神社の一覧