伊勢神宮の御田祭(いせじんぐうのおみた)とは、三重県伊勢市にある伊勢の神宮(伊勢神宮)の神宮神田で5月中旬に行われる御田植神事のことである。伊勢神宮の御田植神事で有名なものに、伊雑宮の御田植祭(「磯部の御神田」)があるが、別のもの。

起源は明らかでないが、神宮神田がある楠部及び豊宮崎の御田では古来、盛大に御田植神事が行われていたが、明治4年(1871年)に伊勢神宮の諸制度が改革されて中絶し、大正13年(1924年)に再興した。現在は地元楠部の保存会の奉仕により行われる。

三重県の重要無形民俗文化財。御田祭は、笛、楽、ささら、太鼓、小鼓が噺すなか、まず御田植えが行われ、終了後、蛭子、大黒をそれぞれ描いた2本の大団扇を田の中央で打ち合わせる団扇合わせとなる。

神田における行事が終わると、大団扇持ち、楽員、舞人の順で神社境内へ踊り込む祝入りが行われ、最後に舞人による稲作の一連の流れを模した田舞が行われる。

福島県大沼郡会津美里町にある伊佐須美神社には、「伊勢の朝田植、高田の昼田植、熱田の夕田植」と言い伝えられ、「日本三大田植」と言われる、「高田の昼田植」としての伊佐須美神社の田植神事があるが、この場合の「伊勢の朝田植」が本行事に相当するか。

ちなみに、「熱田の夕田植」は、熱田神宮(愛知県名古屋市)の境内摂社である御田神社で行われる御田植祭(御田神社御田植祭)、あるいは境外摂社である氷上姉子神社における大高斎田での御田植祭を指していると思われる。