将門・純友の乱への対応、九州の要衝に勧請・配備された八幡神
九州五所別宮 - 宇佐八幡宮五所別、石清水五所別宮、八幡五所別宮などとも
九州五所別宮(きゅうしゅうごしょべつぐう)とは承平天慶の乱(平将門の乱と藤原純友の乱、10世紀前半)の平定を願い、宇佐神宮(大分県宇佐市)、石清水八幡宮(京都府八幡市)から勧請した、九州の五つの八幡神。宇佐八幡宮五所別、石清水五所別宮、八幡五所別宮などとも。

東国では将門が、瀬戸内海では純友が、それぞれの経緯や事情、理由がありながらも、ほとんど同時期に中央に反旗を翻す形になった未曽有の大事件に際して、都では、もちろん討伐軍の派遣を進めながらも、一方では公家どもではなすすべもなく神頼み。遠隔の九州の地に、当時最も霊験があるとされていた八幡神を勧請した―

以上が通説かもしれないし、そうした背景はあったかもしれないが、当時、神頼みこそは政の最も重要な一つであったこと、また多少の影響はあったとはいえ、反乱が波及していない要衝(朝廷の旧地?)の地である九州をあらかじめ押さえておく目的もあったのかもしれない。

今から見れば、九州のポイントをいずれも抑えた立地条件に五社が分布する。現在では、表立って八幡神を掲げていない神社などもあるものの、いずれも極めて由緒の古い、八幡神の発祥ともかかわりがある古社ばかり。三社までもが一宮となっている点から考えても、神頼み以上の何かを期する考えが、当時の朝廷になかったとは言えない。

大分八幡宮 (福岡県飯塚市)

大分八幡宮 - 例祭・放生会で有名、筥崎宮はもとより、宇佐神宮も認める八幡の元宮
[社 格]筥崎宮の元宮 - 郷社
[御祭神]応神天皇神功皇后玉依姫命
[ご利益]厄除けや武運、勝運、子宝、安産、育児など

千栗八幡宮 (佐賀県三養基郡みやき町)

千栗八幡宮 - 肥前国一宮、柔道・古賀選手ゆかり、地震を予知した?粥祭でも有名
[社 格]肥前国一宮 - 国幣小社 - 別表
[御祭神]応神天皇仲哀天皇神功皇后
[ご利益]諸産業の発展、五穀豊穣、厄災除け、スポーツ運やその勝運

藤崎八旛宮 (熊本県熊本市中央区)

藤崎八旛宮 - 9月の秋季例大祭は熊本の一大フェスティバル、五所別宮の一つ
[社 格]国幣小社 - 別表
[御祭神]応神天皇神功皇后住吉大神
[ご利益]武運長久、勝運、学問・研究開発、出世開運、交通安全、安産、育児など

鹿児島神宮 (鹿児島県霧島市)

鹿児島神宮 - 八幡発祥の“正八幡”、応神皇后ナカツヒメや呉の太伯も祀られる古社
[社 格]大隅国一宮 - 官幣大社 - 別表 - 鹿児島神社三社
[御祭神]天津日高彦穂々出見尊豊玉比売命
[ご利益]夫婦円満、子宝、安産、厄除け、必勝祈願

新田神社 (鹿児島県薩摩川内市)

新田神社(薩摩川内) - 薩摩国一宮、八幡五所別宮からニニギ陵を祀る皇祖神の神社へ
[社 格]薩摩国一宮 - 国幣中社 - 別表
[御祭神]天津日高彦火邇邇杵尊天照皇大御神正哉吾勝々速日天忍穂耳尊
[ご利益]厄除け、勝運、五穀豊穣

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