大念仏狂言は、平安時代末期に天台宗の僧侶である聖応大師良忍が始めた融通念仏の教えを広めるために作られた念仏狂言のこと。

融通念仏の教えとは、「一人の念仏が万人の念仏に通じる」という自他の念仏が相即融合し合う立場から、口称の念仏で浄土に生まれるという教え。

現在も京都には融通念仏の中興者である円覺上人による大念仏狂言が伝えられており、千本ゑんま堂大念仏狂言もその一つ。

円覺上人由来の大念仏狂言として、他に壬生狂言、嵯峨大念仏狂言があり、ゑんま堂狂言も加えると、京の三大念仏狂言となる。他にも神泉苑に伝承されている。

壬生、嵯峨が無言であるのに対して、ゑんま堂狂言は有言であることが特徴。定覚上人が布教のため、大念仏法会を始めた事が起こりと伝えられ、「ゑんまんどうの　狂言は　だーれが先　はーじめた、でっかい坊主が　はーじめた。」と、わらべ唄の中にも紹介され、今日まで唄い継がれている。

明治、大正、昭和初期に入ると、ゑんま堂狂言の公演は2週間以上行われ、興業主が現れ、数百人収容の桟敷席を仮設し、席料を徴収するほどの盛況で、多くの人で賑わった。以来、今日まで継承されている。