
かの、箸墓古墳(奈良県・桜井市)と同時期、畿内から遠く離れたこの地に築造された、全長62メートルという比較的規模の大きい前方後方墳です。前々から取り壊しの情報のあった古墳ではありますが、急に現実味を帯びてきました。
宮内庁治定、国の史跡やそのほかの指定をまずは抜きにして、箸墓古墳を破壊しようなどと言ったらどうなるか。「箸墓と一緒にするなっ」という意見は至極もっともながら、ほぼ同時代のものと考えられる以上、歴史解明においては大雑把に言ってしまえば、同じレベルです。
箸墓はともかくとして、この高尾山古墳は、この地域の当時の歴史はもちろん、日本全体の古墳時代とは、そもそも何ぞや、という大きな命題解決にわずかかもしれませんが(そのわずかが、極めて大きい><)、寄与する可能性のある、全国的に見ても非常に貴重な古墳です。
そもそも、3世紀の遺跡を破壊しよう、という発想がまずわからない。道路を造るよりは、未来の日本のために、歴史の解明や知識普及に役立てた方が数十倍いいような。デジタル技術がもう少し進歩すれば別なのかもしれませんが、破壊したら取り戻せません。
解決策になるかどうか、兵庫県朝来市に池田古墳という古墳があります。国道によって、見事に分断されてしまった古墳の典型例として知られています。こういう風に無造作に古墳を破壊してしまった後になって、日本考古学史上でも銘記されるべき発見があったりします。
安易に破壊、という、いわば昭和方式から、もうハコモノの時代ではないと言われて久しい現在、ちょっと脱却したいものです。
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