・所在地:静岡県沼津市東熊堂

・時 期:3世紀前半~中頃
・時 代:古墳時代前期
・形 状:前方後方墳
・特 徴:-
・指 定:-

【概要】
全長約62メートルの前方後方墳。後方部墳頂の埋葬施設(木棺直葬)から銅鏡片や勾玉、鉄鏃などが出土したほか、周濠部で高杯などが見つかっており、これらの出土遺物や墳丘形態などから3世紀前半から中頃の築造と推定されている。

そうであれば、古墳出現期に相当する。畿内から遠く離れたこの地で、前方後方墳とはいえ、この規模の古墳が築造されたというのは、当地及び周辺地域はもちろんのこと、日本全体の古墳時代のあり様を考える上でも貴重な古墳と言える。

古墳は現在、道路建設予定地に立地しており、保存するか否かで注目が集まっている。静岡県沼津市は2015年5月25日、本古墳の大部分を取り壊す発掘調査を始める方針を市議会に報告し、日本考古学協会はそれを反対する声明を発表している。

多くの古墳が、その時々の都合上で破壊されるのは、日本全国で普遍的にみられることではある。しかし、冷静に考えれば、取り返しのつかないことを行っている、ということは、現代日本人ならば理解したいところ。今までの過ちを繰り返すのか否か。

国道で分断された古墳としては、池田古墳(兵庫県・朝来市)がある。池田古墳も貴重な発見のあった古墳で、現在、市では国の史跡指定を目指している動きもあるとか。分断しておいて、今さら、という感じではあるが、本古墳の教訓になりえる。

【関連サイト】
高尾山古墳 - 古墳マップ

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