三上のずいき祭(みかみのずいきまつり)
種別1:風俗慣習
種別2:祭礼(信仰)
公開日:毎年10月中旬
指定日:2005.02.21(平成17.02.21)
都道府県:滋賀県
所在地:御上神社(野洲市三上地区)

三上のずいき祭は、滋賀県野洲市三上地区の氏神である御上神社の秋祭りに行われる収穫感謝の祭りである。本来は御上神社の摂社として祀られている若宮神社の祭礼であるといわれ、記録の上では若宮殿相撲御神事としてみられ、地区では単に神事(じんじ)とも呼ばれてきた。

この行事の運営は、長之屋、東、西の3つの宮座によって担われており、甘酒神事、湯立て式、ずいき刈り、オカシモリとも呼ばれるずいき神輿作り、頭渡し、ずいき神輿の奉納、芝原式などの諸行事が行われる。

これらの諸行事は、三つの宮座から選ばれた5人のトウニン(頭人)によって担われ、祭りにかかる費用もトウニンが負担する。5人のトウニンは、長之屋では上と下が一年交替で毎年1人、東と西では上と下それぞれ1人の計2人ずつ各家の当主が選ばれる。

トウニンは三つの座に1軒ずつあるクモン(公文)と呼ばれる座を統括する役からトウニンを務める前々年に指名される。この指名をサジョウ(差定)といい、原則として長之屋は家順、東はトウニンを務めた当主が亡くなって17年目以降の家、西は神事帳に記された家の順に指名されることになっている。

トウニンの最も大切な役割の一つが、ずいき神輿を奉納することで、ずいき祭には5人のトウニンによって5基のずいき神輿が奉納される。また三つの座のクモンのうち、長之屋のクモンはソウクモン(惣公文)と呼ばれ、祭り当日の夜に行われる芝原式の進行の中心になり、ソウクモンが来ないと式が始められないといわれている。

この行事は、秋の収穫に感謝する行事で、宮座組織を基盤とするトウニンによって祭祀が行われるとともに、この祭りのためだけに栽培される里芋の茎で作ったずいき神輿を神饌として奉納するところに特色が見られる。

この行事は、近畿地方に広く分布する宮座行事の中でも特殊な神饌を奉納する行事として注目されてきたもので、宮座による祭祀の変遷の過程を知る上で、また同種の行事の全国的な比較の観点からも重要なものである。

保護団体名:ずいき祭保存会
重要無形民俗文化財「三上のずいき祭」 - 滋賀県野洲市、御上神社の収穫感謝の祭り
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