くわなののしろのみや - 元伊勢の第十六、約束の地・伊勢国の最初
元伊勢「桑名野代宮」伝承地の一つである野志里神社(桑名市多度町下野代)
元伊勢「桑名野代宮」(くわなののしろのみや)は、『倭姫命世記』に記載される元伊勢の第十六である。所在地は伊勢国。現在の三重県桑名市にあたる。

倭姫命が「中島宮」より遷り、天照大神を4年間奉斎した。天照大神安住の地、現在の伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)を求める長い旅の途上。
(第十一代垂仁天皇)十四年[乙巳]、伊勢国桑名野代宮に遷幸して、四年間奉斎。

この時、国造大若子命〔一名大幡主命〕が現はれ参上して御共に仕へ奉ったので、国内の風俗を奏上させた。また、国造建日方命(たけひかたのみこと)が現はれ参上したので、「汝が国の名は何そ」と問ふと「神風の伊勢国」と申上げ、舎人弟 伊尓方命(いにかたのみこと)、また地口・神田・神戸を進った。若子命は、舎人弟 乙若子命を進った。(『倭姫命世記』 口語訳
約束の地、伊勢国へ。そして、「倭姫命のお尋ね」の代名詞たる「汝が国の名は何そ」が登場してくる。

ここからのストーリーは、このお尋ねで進展してくことになる。女も国も、「名を聞く(答えさせる)」=「自分のものにする」の時代。

「国内の風俗を奏上させた」という表現も初出。そして、「神風の伊勢国」とも。『古事記』にも出、後に、天照大神の神意でも述べられる枕詞。

やはり、色々な意味で伊勢国は特殊であり、倭姫命の巡幸は伊勢平定を述べたものというのは妥当な面がある。

元伊勢「桑名野代宮」の伝承地・候補地は以下の通り。

野志里神社

野志理神社 - 元伊勢「桑名野代宮」の伝承地、長島一揆か関ヶ原の戦いの千人塚も
[所在地]桑名市多度町下野代
[社格等]式内社
[ご利益]開運、厄祓い

神館神社

神館神社 - 「若宮さん」と親しまれる三重・桑名の元伊勢「桑名野代宮」伝承地
[所在地]桑名市江場
[社格等]-
[ご利益]開運、厄除け、交通安全、病気平癒

尾野神社

尾野神社 - 第五代孝昭天皇皇子を祀る、境内には陵墓も? 式内社を合祀した式内社
[所在地]桑名市東方
[社格等]式内社 - 県社
[ご利益]旅行安全、交通安全、開運、厄除け

元伊勢を巡る
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