なかたのはまみや - 吉備国、元伊勢の第五、吉備はやはり吉備か
元伊勢「名方浜宮」伝承地の一つである伊勢神社(岡山県岡山市北区番町)
元伊勢「名方浜宮」(なかたのはまみや、名方濱宮)は、『倭姫命世記』に記載される元伊勢の第五である。所在地は吉備国。現在の岡山県岡山市や広島県、和歌山県にあたる。

豊鍬入姫命が「奈久佐浜宮」より遷り、天照大神を4年間奉斎した。天照大神安住の地、現在の伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)を求める長い旅の途上。
(第十代崇神天皇)五十四年[丁丑]、吉備国名方浜宮に遷り、四年間奉斎。この時、吉備国造は、采女 吉備都比売、地口・御田を進った。(『倭姫命世記』 口語訳
地名の音から、この吉備国は、紀伊・和歌山県に相当するという説がある。紀伊の「奈久佐浜宮」から、いきなり吉備・岡山方面に渡るのは飛躍過ぎる部分も確かにある。

しかし、吉備国のみならず、吉備国造、吉備都比売なども出てくる以上、吉備国は吉備国として考えるのが自然か。

なお、吉備都比売は、後年日本武尊の妃となる大吉備建比売(おおきびのたけひめ)の近親者か。そうすると、伝承地の一部で大吉備建比売が祀られていることとも符合してくる。

元伊勢「名方浜宮」の伝承地・候補地は以下の通り。

伊勢神社

伊勢神社 - 岡山の元伊勢「名方浜宮」、宇喜多秀家の戦勝祈願参拝を神事に伝える
[所在地]岡山県岡山市北区番町
[社格等]式内社 - 県社
[ご利益]必勝、勝負運、開運、五穀豊穣、子宝

内宮

内宮(岡山市) - 伊勢神宮内宮の創建40年前の創祀、元伊勢「名方浜宮」伝承地
[所在地]岡山県岡山市南区浜野1丁目
[社格等]式内社
[ご利益]家内安全、福徳成就

穴門山神社

穴門山神社(倉敷市) - 主祭神はヤマトタケル妃、古代から綿々と続く祭祀跡も
[所在地]岡山県倉敷市真備町妹
[社格等]式内社 - 郷社
[ご利益]国家安寧、家内安全

穴門山神社

穴門山神社(高梁市) - 通称は元伊勢そのものの「名方浜宮」 樹齢700年のカツラ
[所在地]岡山県高梁市川上町高山市
[社格等]式内社 - 県社
[ご利益]殖産興業、五穀豊穣、縁結び

神明神社

神明神社(総社市) - 『備中国風土記』逸文に記載される古社、元伊勢「名方浜宮」伝承地
[所在地]岡山県総社市福井
[社格等]単立神社
[ご利益]開運、所願成就

今伊勢内宮外宮

今伊勢内宮外宮 - 広島県福山市の元伊勢「名方浜宮」の伝承地、秀吉ゆかりの杉も
[所在地]広島県福山市神村町
[社格等]県社
[ご利益]開運、仕事・学問、厄除け

伊勢部柿本神社

伊勢部柿本神社 - 元伊勢「吉備の名方浜宮」は和歌山県という伝承地 商売繁盛の神
[所在地]和歌山県海南市日方
[社格等]-
[ご利益]海上安全、交通安全、商売繁盛

国主神社

国主神社(有田川町)跡地 - 田殿丹生神社に合祀された、吉備名方浜神社の跡地
[所在地]和歌山県有田郡有田川町長田
[社格等]現在田殿丹生神社に合祀
[ご利益]-

元伊勢を巡る
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次へ:弥和乃御室嶺上宮(みわのみむろのみねのうえのみや)

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