元伊勢「中島宮」伝承地の一つで、当社だけの酒の神 清酒発祥の地?
[住所]愛知県一宮市今伊勢町本神戸字宮山1476
[電話]0586-73-1365

酒見神社(さかみじんじゃ)は、愛知県一宮市にある神社。

『延喜式神名帳』にある「酒見神社(尾張国・中島郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では郷社。

『日本書紀』に「美濃」、『倭姫命世記』に「中島宮」とある、天照大神を奉斎した倭姫命が滞在した元伊勢の伝承地の一つ。

主祭神は天照皇大御神、酒造の神である酒弥豆男神・酒弥豆女神を併せて祀る。本殿の裏に倭姫社があり、倭姫命が祀られている。

酒造で男女ペアといえば、大山津見神木花之佐久夜毘売の父娘がいるが、酒弥豆男神・酒弥豆女神は不詳。

『延喜式神名帳』宮中造酒司坐神六座の中の酒殿神社二座が酒弥豆男神・酒弥豆女神ではないかとされ、当社との関係をうかがわせる。山城国綴喜郡には佐牙神社、但馬国城崎郡には酒垂神社がある。

天照大神の御霊代を祀る地を求めて旅をしていた倭姫命は、第11代垂仁天皇14年、美濃国伊久良河宮(現 岐阜県瑞穂市の天神神社など)から尾張の神戸であった当地にしばらく滞在し、御神体を宮山に祀った。

その後、地元の人々によって社殿が作られたのが当社の始まりであると伝える。社伝によれば、その時の社殿は全て丸い柱で造られ、草葺きの屋根で吹き抜けであったという。

斉衡3年(856年)、文徳天皇の勅命により伊勢の神宮(伊勢神宮)から、大邑刃自・小邑刃自の2名の酒造師がこの地に派遣され、伊勢神宮にお供えする御神酒を造ったと伝えられる。

このことから、清酒の醸造が最初に行われた地といわれている。「酒見」の社名もこれにちなむもの。

社殿は北向きとなっており、伊勢神宮のある南の方向に向かって拝礼することになる。また、本殿の裏にある倭姫社は、壁が無い吹き抜け構造の社殿。

黒酒、白酒を納めたといわれる鎌倉時代の作とされる大甕が社殿のそばにあり、社殿の前には酒を造るのに用いたという酒槽石や、栄水の井(さかみのいど)がある。

なお、元伊勢「中島宮」は他に、愛知県一宮市に浜神明社(尾張国一宮真清田神社の境外末社、桜)、丸宮神明社(現在中嶋宮に合祀、萩原町)、坂手神社(佐千原)、清須市一場に御園神明社がある。

【ご利益】
開運、厄除け、酒造、医薬
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