羽衣天女伝説がある式内社、トヨウケビメを祀る元伊勢の可能性
[住所]京都府宮津市由良宮ノ上3537-1
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奈具神社(なぐじんじゃ)は、京都府宮津市にある神社。同名の式内社が加佐郡(京都府京丹後市)にもあるため、当社は竹野郡奈具神社などとも呼ばれる。

『延喜式神名帳』にある「奈具神社(丹後国・竹野郡)」に比定される式内社(小社)。近代社格では村社。

『丹後国風土記』に「ここに来りてわが心奈具志久(なぐしく)なれり」とあり、当社の由来はこの奈具志久(おだやかに)という言葉による。

境内案内板「延喜式内 奈具神社の祭神について」では、以下の記述がある。

昔、丹波の郡比治の真奈井に天下った天女が、和奈佐の老夫婦に懇願されて比治の里にとどまり、万病に効くという酒を醸して、老夫婦は莫大な富を得ました。

しかし、悪念を抱いた老夫婦はやがて天女に、 汝は吾が子ではないと追い出してしまいました。
天の原ふりさけみれば霞立ち 家路まどいて行方しらずも
と詠い、比治の里を退き村々を遍歴の果てに、舟木の里の奈具の村にやってきました。

そして「此処にして我が心なぐしく成りぬ」(わたしの心は安らかになりました)と云って、この村を安住の地としました。

此処で終焉を迎えた天女は村人たちによって、豊宇賀能売命(とようかのめのみこと)として祀られました。これが竹野郡の奈具の社です。

御祭神は豊宇賀能売命。伊勢の神宮(伊勢神宮)の豊受大神宮(外宮)の御祭神である豊受大神と同神とされる。

加佐郡奈具神社にも同様の伝承があり、また御祭神も天女としての豊受大神という点で同じ。『丹後国風土記』における「奈具社」の論社と言える。

加佐郡奈具神社は時に、『止由気宮儀式帳』にある「比治真奈井」、『倭姫命世記』にある「与佐之小見比治之魚井原(与謝郡比冶山頂麻奈井原)」に比定される、候補地の一つとされる。

ただ、地理的に考えれば、当社を比定してもおかしくはない。その意味では元伊勢の一つかもしれない。

なお、「比治真奈井」の候補地としては、加佐郡奈具神社のほか、比沼麻奈為神社藤社神社(いずれも京丹後市)、豊受大神社(福知山市)、真名井神社(宮津市)がある。

【ご利益】
五穀豊穣、酒造、医薬、病気平癒
奈具神社(宮津市) - 羽衣天女伝説がある式内社、トヨウケビメノカミを祀る元伊勢の可能性
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