日本書紀 乾元本(1) 神代上 (新天理図書館善本叢書(2))
・刊行:2015/4/24
・著者:天理大学附属天理図書館
・出版:八木書店

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日本書紀は、日本国の正史である「六国史」の第一書で、漢文を以って全三十巻からなる編年体の史書。養老4年(720年)、舎人親王らが勅を奉じて撰進した。

巻三以降は、神武天皇より持統天皇11年(697年)に至る人皇紀だが、冒頭巻一・二は「神代巻」とも称され、説話的記述を多く載せ、また「一書」として別伝異文が列挙されており、その編集姿勢は古くから史家の称賛を受けている。特に唯一神道卜部家では神典として尊重された。

所収本は、乾元2年(1303年)、卜部兼夏が累家の秘本を以って書写したもの。神代巻の完本としては、卜部兼方書写の弘安本に次ぐ古さで、卜部家作成の多くの『日本書紀』写本の原本となった。

全巻に朱墨訓点が施され、また代々の秘説が紙背にまで及んで詳細に注されているのが特徴。吉田兼倶の自筆書入れなどは、彼が大成した神道説を考える絶好の材料である。

高精細カラー版によって朱墨点・傍訓・注記の可読性が格段に向上。吉田家の理論、古い時代の訓読を考えるうえで必須といえる。