磯部の御神田(いそべのおみた)
種別1:民俗芸能
種別2:田楽
公開日:毎年6月24日
指定日:1990.03.29(平成2.03.29)
都道府県:三重県
所在地:伊雑宮(志摩市磯部町)

伊勢の神宮(伊勢神宮)の皇大神宮(内宮)の別宮である伊雑宮(いぞうのみや)の御料田において行われる行事で、香取神宮(千葉県香取市、御田植祭)、住吉大社(大阪府大阪市、「住吉の御田植」)のものとあわせて日本三大御田植祭とも呼ばれる。

これを輪番で執行している磯部九郷の人達の間では、この行事はオミタと通称されているが、文献には御神田と表記されている。

この行事の起源について、行事最後の次第「踊り込み」の歌に「昔真名鶴磯部の千田に、稲穂落したそのまつり」とあるように、磯部に伝承される「鶴の穂落とし」の故事に関わりがあるものと地元では考えられて来た。

言い伝え(『倭姫命世記』など)によれば第十一代垂仁天皇の御代に、ヤマトヒメが神宮の御贄地を求めて志摩の国を巡られた時、伊雑宮のあるこの地で一基で千穂にもなる立派な稲をくわえていた鶴に遭遇したという。

この行事に携わる磯部九郷の人達は、五知と上之郷、沓掛と山田、下之郷、穴川、迫間、築地、恵利原の各郷が、この組み合わせと順序で毎年交替で担当し、各々奉仕は8年目ごとに行っている。

祭日は、明治4年(1871年)一時中断する以前には旧暦の5月の吉日であったが、明治15年復活してからは毎年新暦6月24日ということで日が確定して今日に至る。

この御神田は、田植作業を声や楽器でうたい囃しつつ進めるという田楽系芸能の一類(田囃子)で神田にて行われるもの(田植神事)の一つである。穂落しという稲作起源伝説伝承地で育まれてきたものであること、室町時代応永の頃御田祭が行われていたことを示す史料を残す内宮のものと同種の行事であること等きわめて由緒のあるものである。

また「竹取り」の次第、「刺鳥差舞」などがあるなど独特な形に展開した田植神事としても特徴を持つものである。

伊勢神宮の神宮神田でも、5月中旬に御田祭(おみた)と呼ばれる御田植神事が行われる。

保護団体名:磯部の御神田奉仕会
重要無形民俗文化財「磯部の御神田」 - 伊勢の神宮、伊雑宮の伝承に基づく神事
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