知立の山車文楽とからくり(ちりゅうのだしぶんらくとからくり)
種別1:民俗芸能
種別2:渡来芸・舞台芸
公開日:毎年5月2日、3日
指定日:1990.03.29(平成2.03.29)
都道府県:愛知県
所在地:知立神社(知立市西町)

愛知県知立市西町にある知立神社の祭礼は、今は毎年5月2日と3日に行われ、その隔年ごとの大祭に、計5基の山車が各町内を巡行して同社境内に曳き出され、そのうちの山町、中新町(中町、新地町)、本町の三基の山車では人形浄瑠璃が、西町の山車では、からくり人形芝居が行われる。

各山車は二層で、一層目正面の唐破風造りの前戸屋と呼ばれる所に三味線と太夫がすわり、人形浄瑠璃は、その前に舞台を引き出し、周囲に手摺をめぐらせ、三人遣いで演じられ、からくり人形芝居は、同様に前戸屋の浄瑠璃に乗せ、上の二層目に四体の糸からくりの人形を配して上演されている。

同地に残る史料(『中町祭礼帳』愛知県指定有形民俗文化財など)で、江戸時代中期から、人形浄瑠璃やからくり人形が行われていたことが確かめられ、その後明治期まで各町内四町の山車の、それぞれ下層で三人遣いの人形浄瑠璃が、上層でからくり人形芝居が行われていた。

このうち人形浄瑠璃は、宝暦7年(1757年)から、ほぼ隔年ごとに上演された演目の多くが記録されており、第二次大戦の前後に中断があるものの、山車で行われる三人遣いの人形浄瑠璃という、きわめて珍しいかたちで、『三番叟』、『傾城阿波の鳴門』など様々な演目が上演されてきた経過をたどることができる。

知立のからくりについては、早い例として延享4年(1747年)の記録に『からくり』という語があり、その後の記録で、山町の山車で『百合若高麗軍記』、『敵討巌流島』などの演目がくりかえし上演され、時代につれて、いろいろと工夫され発展していった様子がわかる。

現在、西町で上演される『一谷合戦』は、登場する人形の墨書銘などから文化、文政期(1804年-1830年)頃に成立したとされ、操作は糸により、人形に矢を射させたり、桜の枝にぶらさがり渡っていくなどの一連の動きが、浄瑠璃にあわせて演じられる。

祭礼に曳き出される山車の上に人形を飾りつけたり、その人形をからくりによって動かしてみせることは、全国各地に伝承されているが、以上のように知立の山車文楽とからくりは、同一の山車の上層と下層で、からくり人形芝居と人形浄瑠璃を、それぞれ演ずるという珍しい形態を、今も、うかがわせるものとして貴重である。

保護団体名:知立山車文楽保存会、知立からくり保存会
重要無形民俗文化財「知立の山車文楽とからくり」 - 二層で浄瑠璃と人形芝居を上演
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