月山・羽黒山・湯殿山、暗殺された崇峻天皇の皇子が御開祖という意味深
出羽三山
出羽三山(でわさんざん)とは、山形県村山地方・庄内地方に広がる月山・羽黒山・湯殿山の総称である。修験道を中心とした山岳信仰の場として、現在も多くの修験者、参拝者を集める。日本の秘境100選の一つ。また、「山岳信仰の出羽三山」として、人と自然が織りなす日本の風景百選の一つ。

出羽三山は、近代以降に使われるようになった用語。かつては「羽州三山」「奥三山」「羽黒三山(天台宗系)」「湯殿三山(真言宗系)」と呼ばれていた。

三山それぞれの山頂に神社があり、これらを総称して出羽三山神社という。宗教法人としての名称は「月山神社出羽神社湯殿山神社(出羽三山神社)」。

住所:山形県鶴岡市羽黒町手向7
電話:0235-62-2355

社伝では第32代崇峻天皇の皇子、蜂子皇子(能除太子)が開山したと伝えられる。崇峻天皇が蘇我氏に弑逆された時、蜂子皇子は難を逃れて出羽国に入った。

そこで、三本足の霊烏の導きによって羽黒山に登り、苦行の末に羽黒権現の示現を拝し、さらに月山・湯殿山も開いて三山の神を祀ったことに始まると伝える。

暗殺されたにもかかわらず、また一部資料では確実に祟ったとされるにもかかわらず、崇峻天皇は神宮号などの神社に丁重に祀られた形跡のない珍しい天皇ではある。

しかし、伝説的な蜂子皇子に仮託して、1400年もの間祀り上げられた結果、出羽三山で御霊となっていると考えれば辻褄が合う部分があり、その意味でも、日本の信仰を語る上では欠かせない聖地と言える。

月山 - 月山神社 (東田川郡庄内町)

月山神社 - 2000メートル級月山の山頂に鎮座する東北唯一の官幣大社、出羽三山
[社 格]名神大社 - 官幣大社
[ご利益]健康祈願、不老長寿

羽黒山 - 出羽神社 (鶴岡市羽黒町)

出羽神社 - 出羽三山の根源神と考えられる神を祀る、三神合祭殿がある修験道聖地
[社 格]式内社 - 国幣小社
[ご利益]特に五穀豊穣

湯殿山 - 湯殿山神社 (鶴岡市田麦俣)

湯殿山神社 - 出羽三山の一つだが、別格の大日如来 古態の“山が神”を順守する
[社 格]国幣小社
[ご利益]人民息災、万民快楽

出羽三山神社として、全国東照宮連合会に加盟している。また、「羽黒山五重塔」が国宝に指定されている。「松例祭の大松明行事」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている。

「羽黒山のスギ並木」は国の特別天然記念物に、「南谷のカスミザクラ」「羽黒山の爺スギ」は国の天然記念物に指定されている。

平成5年(1993年)、湯殿山有料自動車道が終わり、参道に入る前の地に高さ18メートル(一説に22メートル)の大鳥居が建てられた(神社の鳥居、高さランキング)。

なお、出羽三山として、臼田甚五郎監修『日本神社一00選』に「日本神社100選」として掲載されている。また、進藤彦興『詩でたどる日本神社百選』に掲載されている。

2015年4月ごろ、奈良・京都など世界遺産含む寺社に油のようなものがまかれていた被害が相次いだ事件で、被害に遭った一社。

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『日本の神社 11号 (出羽三山) [分冊百科]』 - 月山神社、羽黒山の出羽神社、湯殿山神社
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