日本古代君主号の研究: 倭国王・天子・天皇
・刊行:2015/2/25
・著者:河内春人
・出版:八木書店古書出版部

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古代において「唯一」の君主号と無意識のうちに理解されてきた「天皇」。中世・近世では天皇号はあまり使われず(中世では院号など。天皇号が「復活」するのは近世の光格天皇以後)、「天皇」がほぼ唯一の君主号として確立するのは近代以後のこと。日本史上、天皇号のみが主たる称号ではなかった。

「天皇」号が成立する以前、日本古代では、倭国王(5世紀)、治天下王(6世紀)、天子(7世紀)などの変遷があった。

律令国家の成立後も、律令では天子・皇帝・陛下など複数の称号が規定されているが、なぜ「天皇」以外の称号が併存するのか、その意味は問われてこなかった。

これまで「天皇」の語の成立ばかりが議論されていた現状を止揚し、天皇以外の君主号を手がかりに、対外関係という新視点を盛り込み、5世紀後半と律令国家成立期に君主号成立の画期があったことを論証。

君主号への再検討の過程で、倭王武=雄略天皇という通説への新知見、遣隋使の派遣にかかわる諸問題、天智天皇の「称制」の意味、日本と中国の律令比較など、古代史の重要な諸問題に一石を投じる。

日本古代の君主号ばかりでなく、中世から近代にいたるまでの君主号、および「日本」国号成立に関連するコラム4本「近代化と君主号」「倭国王と倭王」「日本国号」「日常の名称」を収録。