江戸の里神楽(えどのさとかぐら)
種別1:民俗芸能
種別2:神楽
公開日:不定期
指定日:1994.12.13(平成6.12.13)
都道府県:東京都
所在地:若山(台東区蔵前)、間宮(品川区東大井)、松本(荒川区西日暮里)、山本(稲城市矢野口)

江戸の里神楽(さとかぐら)は、江戸時代から、神楽を専門に行う「神事舞太夫(しんじまいたゆう)」によって、随時、江戸や近隣の各地の神社祭礼で演じられてきたもの。

その始まりは、江戸時代初期に伝わった鷲宮神社(埼玉県)の「土師一流催馬楽神楽(はじいちりゆうさいばらかぐら)」とされる。

文化文政期(1804年-1830年)に最も隆盛し、明治維新に際しその多くが四散したが、なお明治初期には江戸に三七家が存続した。

その後さらに衰退し、現在、主要な社中として若山(台東区蔵前)、間宮(品川区東大井)、松本(荒川区西日暮里)、山本(稲城市矢野口)の四社中が、それぞれ活動を継承している。

この里神楽の演目は、最盛期には100を超えていたというが、現在、四社中が伝承する演目は、各社中で共通と考えられるものを含め、若山社中64、間宮社中36、松本社中39、山本社中23演目とされる。

これらは神話を題材に、仮面を付けて演じる無言劇風の『天之浮橋』や『天之返矢』などの演目が主で、鷲宮神社の神楽を源流に、京都の壬生狂言の影響を受けて工夫されたものとされる。

さらに後には歌舞伎や能楽、おとぎ話などを題材にした『釣女』や『紅葉狩』『浦島太郎』などの演目も加えられた。

江戸の里神楽は、近世の江戸という大都会において、強い演劇性を盛り込み、各時代に即応した工夫を重ね、神楽を専門とする人々によって祭礼の神賑として演じられ、広く一般の支持を得てきたもので、芸能の変遷の過程と地域的特色を示す無形民俗文化財として特に重要なものである。

保護団体名:若山社中、間宮社中、松本社中、山本社中
重要無形民俗文化財「江戸の里神楽」 - 強い演劇性、時代に即応した工夫で伝承される
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