男根の神輿、巫女が男根を抱えて練り歩く奇祭で有名な愛知・小牧の古社
[住所]愛知県小牧市田県町152
[電話]0568-76-2906

田縣神社(たがたじんじゃ)は、愛知県小牧市にある神社。『延喜式神名帳』にある「田縣神社(尾張国・丹羽郡)」に比定される式内社(小社)。現在地は旧春日井郡なので、後に遷座したことになる。新字体の田県神社とも。

御祭神は御歳神と玉姫神。オオトシノカミはスサノヲの子で、食物とゆかりが深い一族の一柱。そのため、当社は五穀豊穣の神でもある。

玉姫神は大荒田命の娘。ニギハヤヒの後裔にあたる建稲種命(たけいなだねのみこと)に嫁いで子宝に恵まれたという。当社のもう一つの側面である子宝、そして、このあたりから、かの有名な豊年祭につながってきそう。

玉姫神、大荒田命、建稲種命はいずれも古事記に記載はない。建稲種命はミヤズヒメの兄で、その妹の夫であるヤマトタケルの東国遠征に随行して功を建てた人物。しかしその帰路、駿河で落命する。

当社の由緒によれば、玉姫神は夫の死後、父である大荒田命の元に戻り、父を手伝って当地周辺の開拓に貢献したという。

さて、毎年3月15日に開催される豊年祭が特に有名である。「ほうねんさい」または「ほうねんまつり」と読み、別名「扁之古祭」(へのこ祭)とも。

男達が「大男茎形」(おおおわせがた)と呼ばれる男根をかたどった神輿を担いで練り歩き、小ぶりな男根をかたどったものを巫女たちが抱えて練り歩く。俗称である「ちんこ祭り」でも知られている。それに触れると、「子どもを授かる」と言われている。

この祭事は、男根を「天」、女陰を「地」と見立て、「天からの恵みにより、大地が潤い、五穀豊穣となり、子宝に恵まれる」ことを祈願する祭事であり、(過去には)子宝に恵まれれば増産にも等しいという好循環をも示していると思われる。春は「新しい生命の誕生」をも意味し、当社ご由緒とも何重にもリンクする祭り。

少し離れた場所にある犬山市の大縣神社では豊年祭として、別名「於祖々祭」(おそそ祭)が行われる。こちらは女陰をかたどった山車などが練り歩く。大縣神社では女陰を象った石などが奉納されているのに対し、当社では男根を象った石などが奉納されるのも対。

物珍しさから、国内はもとより、海外にも祭りの名が知れ渡り、今では多くの外国人観光客が訪れるというが、奇祭としての側面を強調されがちなこの行事も、やはり日本の伝統に沿ったものだといえる。

【ご利益】
五穀豊穣、子宝

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