春日祭(かすがのまつり/かすがさい)は、世界遺産に登録されている春日大社(奈良県・奈良市)の例祭。かつては2月・11月の上申日(当該月の最初の申の日)に行われたが、明治19年(1886年)以後は新暦の3月13日に統一されている。葵祭(賀茂祭、賀茂別雷神社賀茂御祖神社)、石清水祭(石清水八幡宮)とともに三勅祭の一つ。

春日祭の創始は、嘉祥3年(850年)とされる(『一代要記』)。春日祭は春日大社を氏神とする藤原氏の祀りとして、藤氏長者・斎女またはその名代の使者の参詣、朝廷でも上卿・弁が定められて使者が派遣され、天暦元年(947年)には興福寺が関与するようになった。

永祚元年(989年)には一条天皇の行幸が実現するなど、藤原氏による摂関政治の繁栄とともにその規模を拡大。中世後期(戦国時代)以後には衰退し、江戸時代には復興の動きが見られるが、上卿・弁の派遣の停止など簡略化された。

明治4年(1871年)には祭日を2月1日とする官社祭式で行われることとなる。明治18年(1885年)に明治天皇の旧儀再興の意向を受けて翌年勅祭に列せられ、藤原氏の祭祀としての性質を喪失して、今日の形式になった。

現在の儀式は、3月13日9時から、宮中より天皇陛下の名代である勅使の参向を仰ぎ、国家の安泰と国民の繁栄を祈る。10時から、勅使以下斎館を出て、祓戸の儀、著到の儀を経て幣殿・直会殿の作合の座につき、下記を行い、およそ正午過ぎに祭儀が終了する。

・御棚奉奠(みたなほうてん)
・御幣物奉納(ごへいもつほうのう)
・御祭文奏上(ごさいもんそうじょう)
・神馬牽廻(みうまのけんかい)
・和舞奉奏(やまとまいほうそう)
・饗饌(きょうせん)
・見参(げざん)
・賜禄(しろく)

参道での祭事は拝観可能だが、回廊内での祭事は拝観不可。また、「春日祭」という名称は、西院春日神社(京都府・京都市、天長十年(西暦833年)に春日大社から勧請)の大規模な無病息災・五穀豊穣を祈る秋祭りとしても有名だが、春日大社の「春日祭」とは別の祭り。
春日祭とは? - 春日大社の例祭で日本三大勅祭の一つ、3月13日9時から勅使が各種神事
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